最初にやるのは資格の追加でも集客でもなく、誰の何を扱うかを決めることです。そこが決まらないと、料金もページも決まりません。
開業したいが、何から手をつければいいか分からない。情報が多すぎて止まっているなら、順番を決めると動き出せます。
MIKATA編集部が開業前の相談を整理すると、止まっている人の多くが「もっと学んでから」で先送りしていました。しかし扱う対象が決まっていない状態では、何を学べばいいかも決まりません。順番として、決めるほうが先です。
準備の順番
- 対象と場面:誰の、どんなときを扱うか
- 形式:オンラインか対面か、1回何分か
- 料金:稼働と経費から逆算する
- 受け皿:料金と進め方が分かる場所を1つ
- 届ける:知人・掲載先・検索
1番目を飛ばすと、以降が全部決まりません。料金も、書く内容も、写真の選び方も、対象が決まってから決まります。
順番を守れば、1つ決まるごとに次が決まっていきます。止まっているなら、どこで詰まっているかを確認してください。
たいていは1番目で止まっています。
2番目以降で悩んでいるつもりでも、実は対象が曖昧なことが多い。
そこを先に埋めてください。
紙とペンがあれば足ります。
| 先にやりがちなこと | 起きること |
|---|---|
| 資格を追加で取る | 扱う範囲は決まらない |
| サイトを作り込む | 何を書くか決まらず止まる |
| SNSを始める | 誰に向けるか決まらない |
| 対象と場面を決める | 以降が順に決まる |
学びは走りながら
次の講座を受けてから、と考えるといつまでも始まりません。実際の相談で出た課題に合わせて学ぶほうが、身につく速度も速くなります。
開業してから学ぶことのほうが多くあります。準備を完璧にしてから、という条件を自分で上げないでください。
学び続けても、開業の判断は別の問題です。
受けながら学ぶ形のほうが、実務に直結します。
必要になった分野から順に学べます。
無駄な学びが減ります。
時間も費用も、必要な分だけで済みます。
最初の1件をどう作るか
知人に「こういうことを始めた」と伝えるだけで足ります。売り込む必要はありません。掲載サービスに出す方法もあり、集客の手間をかけずに件数を積めます。
手数料は引かれますが、最初の数件を作る段階には向いています。
件数が動き始めてから、自分の経路に移せば足ります。
最初から全部を自分でやる必要はありません。

対象と場面の決め方
扱う範囲は、実際に受けてみないと固まりません。開業前に完璧に決めようとすると、そこで止まります。最初は少し広めに出して、来た相談から絞っていくほうが現実的です。
▼ 決める材料
- □ 自分が扱いやすいと感じた相談
- □ 経験が活きる場面
- □ 学びの過程で関心を持った領域
- □ 対応できる時間帯に来られる層
- □ オンラインなら、地域の制約はない
絞る単位は、悩みの種類ではなく場面にしてください。「人間関係」ではなく「上司との関係」、「不安」ではなく「復職前の不安」。
場面が具体的なほど、届き方が変わります。
相談で実際に使われた言葉を、そのまま使ってください。
専門用語に言い換えると、探している人に届きません。
説明のあとに一度添えれば足ります。
場面まで書かれていると、その状況にいる人が自分の話として読みます。絞ると来る人は減りますが、減るのは対象外の人からの通過だけです。
絞られていないと、当てはまる人も気づけません。
あとから変えられる
最初に決めた対象を、一生続ける必要はありません。件数を積むうちに、自分が力を出せる場面が見えてきます。
実績がない時期の書き方
経歴を長く書く必要はありません。件数の少なさより、扱う範囲が分からないことのほうが選ばれない理由になります。
正直に狭く書けば、それが誠実さとして伝わります。
実力以上に見せると、扱えない相談が来ます。
料金と形式
▼ 料金の出し方
- 月に受けられる件数の上限を決める
- 必要な月の売上を出す(経費と生活費から)
- 売上 ÷ 件数で、1件あたりの金額が出る
- 高すぎると感じるなら、件数か売上を見直す
- 最後に、近い条件の相談先と比べて違和感がないか確認する
5番目を最初にやると、順番が逆になります。相場は他人の稼働量と経費の結果であって、自分の条件とは無関係です。
提供時間だけで計算しないでください。準備・記録・問い合わせ対応を含めると、1件あたり1.5〜2倍の時間になります。
その合計で割った数字が、実際の時給です。
見てから金額を決めてください。
低すぎると感じたなら、それは計算の結果です。
この記事では相場を示しません。形式・地域・扱う範囲で幅が大きく、検証できる統計を持っていないためです。
低額から始めるなら、期間と人数を必ず区切ってください。終わりを決めずに始めると、その金額が定価として扱われます。
戻すときの連絡を想像してから決めてください。

受け皿を1つ作る
- 対象と場面(誰の、どんなとき)
- 扱う範囲と、扱わない範囲
- 1回の時間と料金
- オンラインか対面か
- 初回の流れ(当日どう進むか)
- 申し込み方法と、返信までの目安
凝ったサイトは要りません。この6つが1ページにあれば、受け皿として機能します。無料のサービスや掲載先でも足ります。
作り込むより、先に公開するほうが早く動きます。
あとから書き足していけば済みます。
5番目が抜けやすい。初めての人は当日の流れが分からないと不安です。4〜5行書いておくだけで、申し込みが進みます。
「最初に困っている場面を伺います」「話せなくなったら、そのままで構いません」。この程度でも、想像がつく状態になります。
集客や発信の整え方についてLINEで配信しています。
開業前に確認すること
形態によって、必要な手続きが変わります。
- 開業届と、確定申告の準備
- 自宅で受けるなら、賃貸契約や管理規約
- 個人情報の取り扱いをどうするか
- 記録の保管方法(紙か電子か、保管場所)
- 扱えない相談を受けたときの案内先
5番目を先に決めておいてください。医療が必要な状態、法律の判断が要る相談。その場で「扱えません」と言えるよう、案内先を一覧にしておきます。
案内できる相手を持っていること自体が、専門性の一部です。
抱え込まないことが、相談する側の利益にもなります。
必要な手続きは形態や自治体で異なります。この記事では一律の手順を示しません。
開業届は税務署、契約の確認は管理会社や大家に。それぞれの窓口で確認してください。

守るべき線
相談を扱う以上、守るべき範囲があります。
- 診断名を用いて相手の状態を断定しない
- 治る・改善するといった効果の保証をしない
- 医療が必要な状態は、医療機関を案内する
- 特定の個人が識別できる事例を書かない
- 自分の扱えない相談は、扱えないと伝える
最後の項目が最も難しく、最も重要です。断ることは仕事を失うことではなく、扱える範囲を示す行為です。
出典:厚生労働省「こころの耳」
MIKATAでは、相談を受ける方の掲載を扱っています。扱う範囲と形式を明記して掲載できるようにしているのは、サイトを持たない段階でも受け皿が要るためです。
止まっているなら、紙に3行書くところから始めてください。誰の、どんな場面を、どの形式で扱うか。
この3行が決まれば、残りは順番に埋めるだけです。開業の準備は、そこから始まります。
道具や資格を揃えることではありません。誰を受けるかを決める作業です。そこが決まると、必要なものも自然に絞れます。
何を買うか、何を学ぶか、どこに出すかも、対象から逆算できます。
先に決めるほど、無駄な準備が減ります。
開業までの期間も短くなります。
迷っている時間が、いちばん大きな損失です。


よくある質問(FAQ)
Q1. 開業は何から始めればいいですか?
A. 誰の、どんな場面を扱うかを先に決めてください。料金も書く内容も、対象が決まってから決まります。
Q2. 資格をもっと取るべきですか?
A. 扱う対象が決まっていない状態では、何を学べばいいかも決まりません。実際の相談で出た課題に合わせて学ぶほうが速く身につきます。
Q3. サイトは必要ですか?
A. 対象・範囲・料金・進め方・申し込み方法が1か所にあれば足ります。無料のサービスや掲載先でも構いません。
Q4. 扱えない相談が来たらどうしますか?
A. 案内先を先に一覧にしておいてください。医療が必要な状態、法律の判断が要る相談は扱う範囲外です。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
