初回の値付けは集客の都合ではなく、続けられる形かどうかで決めるものです。判断材料と伝え方を整理します。
申し込みを増やしたいから初回を無料にしたい。けれど無料にすると軽く見られそうで踏み切れない。カウンセラーとして開業すると、この判断が最初に来ます。この記事では、無料と有料それぞれの働き方、決めるための材料、そして選んだ形をどう伝えるかを整理します。
無料と有料で起きることが違う

初回の値付けは、申し込みの数だけでなく来る人の層と、続く割合を変えます。
無料は申し込みの数を増やす
金額の負担がなくなるため、迷っている段階の人も申し込みます。知られていない時期には有効に働きます。ただし数が増えるぶん、面談の時間は自分の負担になります。
無料は続く割合が下がりやすい
無料で受けた人がそのまま有料に移る割合は高くありません。件数だけを見て判断すると、収入につながらない忙しさが増えます。移った人数まで数える必要があります。
有料は判断が慎重になる分、続きやすい
金額を払って申し込む人は、相談したい内容が固まっている場合が多くなります。件数は少なくなりますが、二回目以降に続く割合は上がります。
軽く見られるかどうかは無料かどうかで決まらない
無料だから軽く扱われるのではなく、条件が曖昧だと軽く扱われます。時間、扱う範囲、取り消しの条件が明記されていれば、無料でも扱いは変わりません。
MIKATA編集部で個人のカウンセリングルームの案内を読み比べたところ、初回を無料にしている例と、初回だけ短時間の枠を安く設定している例、通常料金のままの例に分かれていました。無料が主流というわけではなく、短い枠を用意する形が個人の相談室では多く見られます。
初回の形を四つに分ける
無料か有料かの二択ではありません。四つの形から選んでください。
| 形 | 内容 | 向いている時期 |
|---|---|---|
| 完全無料 | 通常と同じ時間を無料で受ける | 知られていない初期 |
| 短時間の無料 | 20分程度の相談のみ無料 | 面談の負担を抑えたい時期 |
| 初回のみ割安 | 通常より低い金額で受ける | 続く人を選びたい時期 |
| 通常料金 | 初回から同じ金額 | 件数が安定してから |
短時間の無料がいちばん扱いやすい
四つのうち、個人で始める段階に向いているのは短時間の無料です。申し込みの負担は下がり、こちらの時間の負担も限定できます。扱う内容を絞れば、相性の確認としても機能します。
初回のみ割安は説明が要る
通常より低い金額にする場合、なぜ安いのかが書かれていないと内容が薄いのではないかと受け取られます。「初回は状況の聞き取りが中心のため」のように、内容の違いと結びつけて書いてください。
通常料金にする判断もある
件数が安定してきたら、初回から通常料金にする形もあります。申し込みの数は減りますが、続く割合が上がるため、総量としては変わらないことがあります。三か月の数字を見てから判断してください。
完全無料は期間を決めて使う
完全無料を続けると、収入のない忙しさが常態化します。使う場合は「開業から三か月」のように期間を決めて始めてください。
決めるための材料

感覚で決めると、あとから変えにくくなります。先に数字を出してください。
- 週に何件受けられるかを出す(面談と記録の時間を含める)
- 月にいくら必要かを出す
- 必要な件数と料金の組み合わせを計算する
- 初回を無料にした場合、無料枠が何件までなら回るかを出す
- その範囲で形を選ぶ
記録の時間も件数に含める
面談の時間だけで計算すると、実際には回りません。記録、連絡、準備の時間を含めて一件あたりの所要時間を出してください。
必要な金額から逆算する
周りの相場を見て決めると、自分の生活が回るかどうかが分かりません。月に必要な金額を先に出し、受けられる件数で割ってください。その金額が相場より高い場合は、件数か内容の側を調整します。
無料枠に上限を置く
無料を選ぶ場合も、月に何件までと決めておいてください。上限がないと、有料の枠が埋まらないまま時間だけが埋まる形になります。
編集部で申し込みの導線を見てきた実感として、無料が効くのは「受けるかどうか迷っている人」に対してです。一方で、すでに相談したい内容が固まっている人にとっては、無料かどうかより扱ってもらえるかどうかが判断の中心になります。どちらの層に向けているかで、初回の設計は変わります。
選んだ形を案内に書く

どの形を選んでも、条件を明記することが前提です。
▼ 初回について案内に書く項目
- □ 初回の時間と金額(無料の場合もその旨)
- □ 初回で何をするか(聞き取り・進め方の説明など)
- □ 二回目以降の金額と時間
- □ 何回くらいを想定しているか
- □ 取り消しと変更の条件
- □ 無料枠に上限がある場合はその条件
初回で何をするかを書く
初回は聞き取りが中心になるのか、その場から進めるのか。書かれていないと、相談者は何を期待すればよいか分かりません。無料の場合はとくに、できる範囲を明示してください。
無料の条件も同じ精度で書く
無料だからと条件の記載を省くと、時間を超えて話が続く、当日に来ないといったことが起きます。有料の枠と同じ精度で時間と取り消しの条件を書いてください。
二回目以降の金額を同じ場所に書く
初回だけの金額を大きく出して、以降の金額が別の場所にある形は後出しの印象になります。同じ場所に並べて書いてください。
初回の面談で確認しておくこと

初回の目的は、続けるかどうかを双方が判断することです。
初回で進める順番
- 困っている内容を聞き、扱える範囲かを判断する
- 扱えない場合は、その場で案内先を伝える
- 進め方と回数の目安を伝える
- その場で決めなくてよいことを伝えて終える
扱えない場合の案内先を持っておく
初回で、自分の範囲ではないと判断することがあります。医療機関、法律の相談先、行政の窓口を地域ごとに調べて手元に置いてください。その場で出せるかどうかで、相談者が次に動けるかが変わります。
進め方と回数の目安を伝える
初回の終わりに、どのくらいの回数を想定しているかを伝えてください。見通しがないまま二回目を決めるのは、相談者にとって負担です。断定できない場合も、「まず三回を目安に」といった区切りを示せます。
その場で決めさせない
初回の終わりに続けるかを迫ると、断りにくさから受けてしまいます。「考えてからご連絡ください」と伝えたうえで、決めたい人には枠を出す形にしてください。
あとから変えるときの手順

最初に決めた形をずっと続ける必要はありません。
上げるより、形を変えるほうが摩擦が小さい
無料をやめて有料にする場合、同じ内容の金額を上げる形にすると説明が難しくなります。「初回は20分の相談のみ」のように内容を変えたうえで金額を設定すると、別の枠として扱えます。
変更の時期を先に告知する
案内を書き換えるだけでなく、いつから変わるかを先に出してください。検討していた人が変更前に申し込む余地を残せます。
既存の相談者の条件は変えない
すでに継続している相談者の金額は、変えないほうが関係が保てます。新しく申し込む人から新しい条件にする形にすると、混乱が起きません。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 初回は無料にしたほうが申し込みは増えますか。
A. 金額の負担がなくなるため、迷っている段階の人も申し込みます。ただし無料から有料に移る割合は高くないため、件数ではなく移った人数まで数えて判断してください。
Q2. 無料にすると軽く見られませんか。
A. 無料かどうかではなく、条件が曖昧だと軽く扱われます。時間、扱う範囲、取り消しの条件を明記していれば、無料でも扱いは変わりません。
Q3. 無料と有料のどちらを選べばよいですか。
A. 二択ではありません。短時間の無料、初回のみ割安、通常料金という形もあります。個人で始める段階では、申し込みの負担とこちらの時間の負担を両方抑えられる短時間の無料が扱いやすくなります。
Q4. あとから無料をやめたい場合はどうすればよいですか。
A. 同じ内容の金額を上げるより、内容を変えたうえで金額を設定するほうが摩擦が小さくなります。変更の時期を先に告知し、すでに継続している相談者の条件は変えないでください。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
