領収書で慌てるのは知識の不足ではなく、出す形を用意していないからです。先に整える順番を置きます。
会計のときに「領収書をください」と言われて手が止まる。何をどう書けばいいのか、その場で調べることになる。この記事では、個人サロンで領収書が必要になる場面と、その場で出せる形の整え方を整理します。
MIKATA編集部に届く個人事業の相談では、領収書について「求められてから慌てた」という書き方が繰り返し出てきます。頻度が低いぶん、毎回はじめてのように調べ直している形です。
その場で止まる仕組み

知識の量ではなく、出す形が用意されていない状態です。
求められる頻度が低い
多くの来店では求められないため、手順が身につきません。久しぶりに言われると毎回思い出すところから始まります。
控えの残し方が決まっていない
渡したあとに自分の側に何が残るかを決めていないと、帳簿と突き合わせるときに確かめられません。
但し書きで迷う
何と書くかで止まる人が多くいます。施術の名前をそのまま書くか、まとめた言い方にするかで毎回考えることになります。
金額の書き方が不安
桁の区切りや末尾の書き方に自信がないと、書き損じを心配して手が止まります。
キャッシュレス決済の扱い
現金以外で受け取ったときに同じように出していいのか、その場で判断できず止まることがあります。
会計の場所が決まっていない
施術台のそばで会計をしていると、用紙や印を取りに行くことになります。動く距離のぶんだけお客様を待たせます。
誰が出すか決まっていない
家族やスタッフが会計に入る日があると、出し方が人によって変わります。変わると控えの残り方も揃いません。
用紙が手元にない
そもそも用紙を置いていないと、後日郵送になります。郵送の手間と送り先のやり取りがそのまま発生します。
先に用意しておくもの

その場で考えないために、物と項目を先に揃えます。
用紙と控えを一体にする
複写になっている市販の用紙を使うと、渡した内容がそのまま手元に残ります。控えの取り方を別に考えなくて済みます。
屋号と住所を印字しておく
発行者の欄を毎回手書きすると時間がかかります。ゴム印を作るかあらかじめ印字しておくと、書く項目が減ります。
| 欄 | 書く内容 | 先にできる準備 |
|---|---|---|
| 宛名 | 相手が指定した名前 | 「上様」で良いか確認する形を決める |
| 日付 | 受け取った日 | なし |
| 金額 | 税込の総額 | 桁区切りの書き方を控えに見本を貼る |
| 但し書き | 何の代金か | 自店で使う言い方を決めておく |
| 発行者 | 屋号・住所・氏名 | ゴム印か印字で用意 |
但し書きの言い方を決めておく
施術名をそのまま書くか、まとめた言い方にするかを先に決めます。決めてあると、その場で相手に確かめるのは宛名だけになります。
インボイス制度の扱いを確かめる
相手が仕入税額控除に使う場合、求められる記載事項が変わります。自分が登録しているかどうかで書く内容が変わるため、開業時に一度税務署で確かめておくとそのあと迷いません。確かめた内容は見本と一緒に貼っておきます。
見本を控えに貼っておく
書き方の見本を用紙の控え側に貼っておくと、迷ったときにその場で見られます。
その場で出すまでの順番

聞く順番を決めておくと、会計が止まりません。
編集部で、会計時に必要になる項目を書き出して一枚にまとめました。宛名・日付・金額・但し書き・発行者の情報という並びを手元に置いておくと、その場で考える項目がなくなりました。
領収書を出す手順
- 宛名をどうするか聞く
- 日付は受け取った日を入れる
- 税込の総額を書く
- 但し書きは決めてある言い方を使う
- 発行者の欄を押すか記入する
- 控えを残し、帳簿に付ける日を決めておく
宛名は必ず聞く
宛名だけは相手にしか分かりません。会社名か個人名か、正式な表記かを先に聞いておくと書き直しが減ります。
金額は税込で書く
受け取った総額を書きます。相手から求められた場合に限り、内訳として消費税額を別に添える形にします。
キャッシュレスのときは明記する
現金以外で受け取ったときは、その旨を書き添えます。あとから見たときに受け取り方が分かる形にしておくと、帳簿と合わせやすくなります。
書き損じたら破棄しない
書き間違えた用紙は捨てずに控えと一緒に残します。番号が飛んだ理由が分かる形にしておくと、あとで確かめられます。
控えを付ける日を決める
その日のうちにできないなら、週に一度帳簿に付ける日を決めます。溜めると内容を思い出せなくなります。
会計まわりのチェック

会計の場所に置いておく形にします。
▼ 会計まわりのチェック
- □ 領収書の用紙が手元にある
- □ 控えが残る形になっている
- □ 発行者の欄を毎回手書きしなくて済む
- □ 但し書きの言い方を決めてある
- □ 書き方の見本が手元にある
- □ 控えを帳簿に付ける日を決めてある
求められる前に案内する
会計のときに「領収書はご入用ですか」とこちらから聞く形にすると、あとから頼まれて郵送になることが減ります。
後日発行の手順も決めておく
その場で出せなかったときのために、いつまでにどうやって渡すかを決めておきます。決めてあると、その場で相手に伝えられます。
保存する期間を決める
控えは一定の期間保管が必要になります。年ごとにまとめる箱を先に用意しておくと、探す手間がなくなります。
会計の場所を固定する
用紙・印・釣り銭を同じ場所に置き、会計はそこで行うと決めます。取りに行く動きがなくなるだけで、待たせる時間が変わります。
再発行の扱いを決める
失くしたのでもう一度、と言われる場面があります。同じものを二枚出さない形にするか、再発行と分かる書き方にするかを先に決めておきます。
気をつけたいところ

その場の判断で処理するとあとから困ることがあります。
日付を相手の希望に合わせる
実際に受け取った日と違う日付を求められることがあります。受け取った日を書くのが原則で、そこを動かすと自分の記録とも合わなくなります。
金額を分けて出す
一回の会計を複数枚に分けてほしい、という求めにも同じ注意が要ります。実際の取引と違う形にはしない、という線を持っておきます。
控えを渡してしまう
複写の用紙で控え側を渡してしまうと、手元に何も残りません。渡す前にどちらを渡すか確かめます。
宛名を勝手に決める
聞かずに「上様」で出すと、経費に使えないことがあります。書き直しになるとその場の時間も余計にかかります。
扱いに迷ったまま出す
収入印紙や消費税の記載など、判断がつかない点はその場で決めず、後日発行にして税務署や税理士に確かめるほうが安全です。
迷ったときの確かめ先
扱いの細部は取引の形によって変わります。
公的な窓口で確かめる
記載事項や収入印紙の扱いは、国税庁の案内や所轄の税務署で確かめられます。税務署では個人事業者向けの相談も受け付けています。
継続して見てもらう相手
開業して間もない時期は、商工会議所やよろず支援拠点などの無料で相談できる窓口があります。一度形を作っておくと、そのあとは同じ形で回せます。
記事の内容は目安として使う
この記事は整え方の順番を示すものです。税や法令の判断が要る場面は、必ず公的な窓口か税理士に確かめてください。
年に一度は形を見直す
制度の扱いは変わることがあります。確定申告の時期に合わせて年に一度用紙と手順を確かめておくと、古い形のまま続けずに済みます。
個人で続ける仕事の整え方を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 宛名は「上様」でもいいですか。
A. 相手が了承するなら使われる場面はありますが、経費として使う相手は正式な名称を必要とすることがあります。会計のときに宛名だけは必ず聞いてください。
Q2. キャッシュレス決済でも領収書は出せますか。
A. 出せますが、現金以外で受け取ったことが分かるように書き添えておくと、あとから帳簿と合わせやすくなります。扱いに迷う場合は税務署で確かめてください。
Q3. 書き間違えた用紙はどうしますか。
A. 捨てずに控えと一緒に残してください。番号が飛んだ理由が分かる形にしておくと、あとから確かめるときに困りません。
Q4. その場で出せないときはどうしますか。
A. いつまでにどうやって渡すかを決めておき、その場で相手に伝えてください。手順を先に決めておくと、会計の場で慌てずに済みます。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
