専門外の相談に迷うのは力不足だからではなく、扱う範囲を先に決めていないからです。線の引き方を置きます。
セッションの途中で、自分が扱ったことのない話が出てきた。断るのも違う気がして、そのまま聞き続けてしまう。この記事では、判断に迷う仕組みと、線の引き方を整理します。
MIKATA編集部に届く個人開業の方からの相談では、この話題は知識の不足としてではなく、断ったら関係が終わるのではという形で書かれています。続けたい気持ちと扱えない不安が同時に書かれています。
判断に迷う仕組み

知識ではなく、範囲が決まっていません。
範囲を決めていない
何を扱い、何を扱わないかを先に決めていないと、話が出たその場で判断することになります。聞き取りでも書面で示している場合は迷った回数が少なくなっていました。決めるのは先で足ります。
断ると関係が終わると思う
扱えないと言えば契約が切れるのではと考えます。実際には扱える範囲を説明したうえで続けた場合のほうが関係が続いたという回答が多く集まりました。断り方の問題でした。
コーチングは何でも扱えると見える
答えを出すのではなく本人の考えを引き出す方法のため、分野を問わないように見えます。ただし扱ってはいけない領域があります。方法ではなく領域の話です。
相談者が続けて話す
一度話し始めると途中では止めにくくなります。聞いているうちに扱う流れになってしまいます。先に線があれば止められます。
役に立ちたい気持ちが働く
目の前の人が困っていると何とかしたくなります。その気持ちが範囲を越える方向に働きます。善意ほど越えやすくなります。
収入との関係が入る
個人で活動していると継続がそのまま収入になります。断る判断にその要素が混ざることを自分でも分かっています。分けておくほうが楽になります。
MIKATA編集部に届く個人開業の方からの相談では、この話題は知識の不足としてではなく、断ったら関係が終わるのではという形で書かれています。続けたい気持ちと扱えない不安が同時に書かれています。
そのままにすると起きること
相談者と自分の両方に影響が出ます。
必要な支援が遅れる
医療や法律の領域をこちらで抱えると、本来つながるべき先への到達が遅れます。相談者の不利益になります。早くつなぐほど回復も早くなります。
セッションが進まない
扱えない話が中心になると、本来のテーマが止まります。回数だけが増えていきます。成果が見えなくなります。
自分の負担が増える
扱い方が分からない話を抱えると、セッションの前後で考え続けることになります。準備の時間も伸びます。
信頼が下がる
扱えないまま続けると成果が出ません。断ったときより関係が悪くなります。扱えないと言うほうが誠実に映ります。
責任の範囲があいまいになる
どこまでを引き受けたのかが分からなくなります。あとで認識の違いが出ます。書面があれば戻れます。
同じ場面が繰り返される
一度扱うと次も同じ話が出ます。線を引く機会が遠ざかります。最初の一回が基準になります。
編集部で、個人で活動している方に専門外の相談への対応を聞きました。その場で断った場合より、扱える範囲を先に説明したうえで続けた場合のほうが関係が続いたという回答が多く集まりました。
線の引き方

その場で断るのではなく、先に範囲を示します。
契約前に範囲を書く
扱うテーマと扱わない領域を書面に残しておきます。聞き取りでも示している場合は迷った回数が少なくなっていました。相談者も先に分かります。
扱わない領域を具体的に挙げる
医療、法律、お金の具体的な判断。分野名で挙げておくとその場で説明できます。言葉を探さずに済みます。
説明してから続ける
断って終わるのではなく、ここは扱えないがこの部分なら扱える、と分けて伝えます。続いた回答が多い形です。全部を断っていません。
線の引き方
- 契約前に扱う範囲を書面で示す
- 扱わない領域を分野名で挙げておく
- 出てきたらその場で範囲を説明する
- 扱える部分だけを切り出して続ける
- 必要なら専門家の窓口を伝える
扱える部分を切り出す
同じ相談の中にも扱える部分があります。全部かゼロかにしないでください。切り分けが仕事になります。
窓口を伝える
扱わない領域はつなぐ先を先に調べておきます。名前を出せると断りが支援になります。連絡先まで渡せると確実です。
その場で決めない選択肢を持つ
一度持ち帰り、次回までに扱えるかを返す形も使えます。その場で決めなくて構いません。
領域ごとの扱い方

領域によって線の位置が変わります。
心身の不調
眠れない、食べられないなどの話は医療の領域です。セッションでは扱わず受診をすすめてください。早さがいちばん効きます。
法律に関わる話
契約や手続きの判断は専門家の領域です。気持ちの整理だけを扱う形に分けられます。判断は専門家に渡します。
お金の具体的な判断
投資や借り入れの是非は扱いません。使い方の考え方までにとどめます。金額には触れません。
経験の浅い業界の話
業界知識が無くても本人の判断を扱うことはできます。助言はしないと伝えてください。扱うのは決め方のほうです。
人間関係の深い悩み
背景が大きい場合はカウンセリングの領域に近づきます。並行して受けてもらう形が使えます。両方が必要な場合があります。
組織の問題
本人だけでは動かせない話は扱える範囲が限られます。できる行動に絞ってください。動かせない部分は扱いません。
| 対応 | やり方 | 関係の続き方 |
|---|---|---|
| その場で断る | 扱えませんと伝えて終える | 続きにくい |
| 範囲を説明して続ける | 扱える部分を切り出す | 続いた回答が多い |
| 先に書面で示す | 契約前に扱わない領域を挙げる | 迷った回数が少ない |
線を引いたあとの扱い方
伝えたあとに決めておくことがあります。
記録に残す
どの話を扱わないと伝えたかを残しておくと、次回以降同じ説明を繰り返さずに済みます。一行で十分です。
窓口の一覧を作る
医療、法律、お金。分野ごとの窓口を手元にまとめておいてください。探す時間が無くなります。
契約の文面を見直す
迷った場面が出るたびに書面に足していくと、次からの判断が楽になります。書面は育てるものです。
断り方を決めておく
言い方を先に決めておくと、その場で迷いません。言い方もきつくなりません。
収入と分けて考える
継続の有無を判断の材料にしないと決めておきます。枠の埋め方は別に考えます。混ぜると線がぶれます。
一人で決めない
同業の人やスーパービジョンで確かめられる場を持っておいてください。一人で抱えないでください。
▼ 線を引くときの確認
- □ 契約前に扱う範囲を書面で示している
- □ 扱わない領域を分野名で挙げている
- □ その場で範囲を説明している
- □ 扱える部分を切り出して続けている
- □ つなぐ先の窓口を手元に持っている
判断に迷うときは

手順に当てはまらない場合があります。
医療の領域が見えるとき
眠れない日が続いている、食事が取れていない、死にたい気持ちが語られる。そうした内容が出たときはセッションを進めず、医療機関や公的な相談窓口へつないでください。
安全に関わる話が出たとき
暴力や被害の話は扱う範囲ではありません。専門の窓口を伝えてください。
相談者が受け入れないとき
扱えないと伝えても続けたいと言われる場合は、扱える部分だけを書面で確認してください。
自分の状態が整っていないとき
こちらが疲れていると線がぶれます。判断を別の日に置いてください。
窓口を先に調べておく
自治体の相談窓口や専門職の団体の連絡先は、落ち着いている日に調べておくとすぐ渡せます。
全部を扱わなくてよい
すべての相談に応える必要はありません。扱える部分を確かに扱えれば十分です。
同じ聞き取りで、契約の前に扱う範囲を書面で示しているかも尋ねました。示している場合は途中で迷った回数が少なく、示していない場合はその場で判断したという回答が目立ちました。

個人で続ける人の集客と運営を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 専門外の相談が出たとき、断るべきですか。
A. 編集部が個人で活動している方に聞いたところ、その場で断った場合より、扱える範囲を先に説明したうえで続けた場合のほうが関係が続いたという回答が多く集まりました。
Q2. 迷わないためにできることはありますか。
A. 同じ聞き取りでは、契約の前に扱う範囲を書面で示している場合は途中で迷った回数が少なく、示していない場合はその場で判断したという回答が目立ちました。
Q3. どこまでを扱わないと決めればよいですか。
A. 医療、法律、お金の具体的な判断を分野名で挙げておいてください。分野名で書いておくと、その場で説明できます。
Q4. 業界の知識が無い相談は受けられませんか。
A. 業界知識が無くても本人の判断を扱うことはできます。助言はしないと伝えたうえで、扱える部分だけを切り出して続けてください。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
