断ることは見捨てることではなく、扱える人へ渡す仕事の一部です。伝え方とつなぎ方を整理します。
引き受けたものの、自分では扱いきれないと感じる。断ると突き放すことになる気がして、抱えたまま続けてしまう。この記事では、断る判断の基準と、伝え方、次の相談先へのつなぎ方を整理します。
断る判断ができない理由

優しさの問題ではなく、基準が無いことが原因です。
見捨てることになる気がする
ここで断ったら行き場が無くなるのではないかと考えると、抱え続けてしまいます。つなぐ先を持っていないとこの不安が強くなります。
自分の力不足だと感じる
扱えないことを能力の問題として受け取ると、認めるのが難しくなります。扱う範囲の違いであることが多くあります。
収入への影響が気になる
一人で仕事をしていると、断ることがそのまま収入に響きます。そこが判断を鈍らせます。
途中で断りにくい
何回か続けたあとでは切り出しづらくなります。初回で判断できていないと、後になるほど難しくなります。
基準を決めていない
どこまでを扱うかを先に決めていないと、毎回その場で悩みます。悩んでいる間に回数が進みます。
相談できる相手がいない
一人で仕事をしているカウンセラーは、判断に迷ったときに確かめる相手がいません。抱えたまま進みがちです。
相手から言い出しにくい
合わないと感じていても、相手の側から言うのはさらに難しいものです。こちらから話題にしないと、合わないまま続くことになります。
MIKATA編集部に届く個人で仕事をしている人の相談を読むと、断ることについての困りごとは「断り方が分からない」より「断ってよいのか判断できない」という形で書かれています。言葉より判断の基準で止まっています。
断る理由を分ける
理由によって伝え方が変わります。
| 理由 | 起きていること | 伝え方の方向 |
|---|---|---|
| 扱う範囲を超える | 専門が違う相談 | 範囲の違いとして伝える |
| 医療が必要 | 体調や症状が中心 | 医療機関を案内する |
| 相性が合わない | 話が進まない感覚が続く | 別の担当を提案する |
| 自分の状態が整わない | 受ける余力が無い | 時期の問題として伝える |
範囲の違いとして扱う
専門が違う相談は力不足ではありません。扱う範囲が違うだけだと自分の中で整理すると、伝えるときも迷いません。
医療が必要な場合は早く動く
眠れない、食事が取れないといった状態が続いている場合は、抱えずに医療機関を案内してください。本記事は情報提供を目的としたもので、診断を行うものではありません。
相性は早めに見る
何回か続けても話が進まない感覚があるなら、回数を重ねる前に一度話題にしてください。
自分の状態も理由になる
体調や受けている件数によって、整わない時期があります。時期の問題として伝えれば、相手を否定する形になりません。
記録して基準を作る
断った相談の内容を残していくと、自分が扱える範囲がはっきりしてきます。感覚ではなく記録から基準ができます。
伝えるときの形

順番を決めておくと言葉に迷いません。
- これまで話してもらったことに礼を伝える
- 扱う範囲の違いとして説明する
- 別の相談先を具体的に挙げる
- 引き継ぐ情報の範囲を確認する
- 決めるのは相手だと添える
力不足として伝えない
「私の力が及ばず」と伝えると、相手が気を使う形になります。「この内容はこちらのほうが適しています」と範囲の話にしてください。
具体的な先を挙げる
「専門の方へ」だけでは相手は動けません。機関名や探し方まで示してください。つなぐところまでが断る仕事の一部です。
決めるのは相手に委ねる
こちらで決めてしまうと押し出された形になります。選択肢を渡して選んでもらう形にしてください。
礼から始める
話してもらった内容への礼を先に伝えてください。そこを飛ばして本題に入ると、拒否として受け取られます。
編集部で伝え方を二通り用意して読み比べました。こちらの力不足として伝える文と、扱う範囲の違いとして伝える文です。後者のほうが相手が受け止めやすく、次に進む形になりました。力不足として伝えると相手が気を使う形になるためだと考えられます。
つなぎ方を用意しておく

その場で探すと案内できません。
▼ 断る前に確認すること
- □ 扱う範囲を文書で決めてある
- □ つなぎ先の一覧を持っている
- □ 医療機関の案内先を把握している
- □ 公的な相談窓口を把握している
- □ 引き継ぐ情報の扱いを決めてある
- □ 伝える言い方を決めてある
一覧を作っておく
専門分野ごとにつなげる先を普段からまとめておいてください。必要になってから探すと間に合いません。
公的な窓口も入れる
費用の負担が難しい相手には、無料で使える窓口が現実的な選択肢になります。民間の選択肢だけで案内しないでください。
引き継ぐ情報を確認する
何をどこまで伝えるかは本人の同意が要ります。勝手に情報を渡さず、先に確認してください。
案内した先を記録する
どこを案内したかを残しておくと、同じ相談が来たときにすぐ出せます。つなぎ先の一覧も使いながら育ちます。
最初の段階で決めておく

途中で断るより、入口で判断するほうが負担が小さくなります。
入口で判断する順番
- 扱う範囲を募集の段階で書いておく
- 申し込み時に相談内容を書いてもらう
- 初回で扱えるかどうかを判断する
- 扱えない場合は初回のうちに伝える
- つなぎ先を初回で案内する
募集の段階で書く
扱う相談と扱わない相談を先に書いておくと、そもそも合わない申し込みが減ります。
初回で判断する
回数を重ねるほど断りづらくなります。初回のうちに続けるかどうかを判断してください。
扱えないと分かったら早く伝える
抱えたまま続けるほうが相手の時間を使わせます。早く伝えることが相手のためになります。
初回の位置づけを伝えておく
初回は続けるかどうかをお互いに確かめる場だと先に伝えておくと、断る場合も自然な流れになります。
断ったあとの整え方

こちらにも残るものがあります。
罪悪感を長く持たない
断ったことを何日も振り返ると、次の面談にも影響します。記録を一行残してそこで終えてください。
記録に残して次に使う
どんな相談で断る判断をしたかを残しておくと、扱う範囲がはっきりしていきます。
扱わないと決めた分野を書き出す
扱わない相談を文書にしておくと、その場で迷いません。自分のためだけでなく、相手にとっても早く分かるほうが助かります。
扱える範囲を広げる判断もある
同じ種類の相談が続けて来るなら、学び直して扱えるようにする道もあります。断ることだけが答えではありません。
同業に相談する
判断に迷った場面は同じ立場の人に聞いてください。内容を伏せた形でも扱いの相談はできます。
つなぎ先とつながっておく
一覧を持っているだけでなく、普段からやり取りのある相手がいると案内が具体的になります。紹介し合える関係を少しずつ作ってください。
自分の状態も基準に入れる
受ける余力が無い時期は、無理に引き受けないでください。整わない状態で受けるほうが相手の不利益になります。
断れることを前提に組む
全部を受ける前提で収入を組み立てると、断る判断ができなくなります。何割かは断る前提で計画してください。
断った件数を数える
月に何件断ったかを残しておくと、扱う範囲が狭すぎないか、広げすぎていないかが数字で見えます。
入口の書き方を見直す
合わない申し込みが続くなら、募集の文面が広すぎる可能性があります。断る手間を減らすには、入口を直すほうが早く効きます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. カウンセラーが相談を断るのは見捨てることになりませんか。
A. つなぐ先を示すところまでが断る仕事の一部です。扱えないまま抱え続けるほうが相手の時間を使わせるため、早く伝えることが相手のためになります。
Q2. どう伝えればよいですか。
A. 「私の力が及ばず」と伝えると相手が気を使う形になります。「この内容はこちらのほうが適しています」と扱う範囲の違いとして伝えてください。
Q3. いつ判断すればよいですか。
A. 初回のうちに判断してください。回数を重ねるほど断りづらくなります。募集の段階で扱う相談と扱わない相談を書いておくと、合わない申し込みそのものが減ります。
Q4. つなぎ先はどう用意しますか。
A. 専門分野ごとのつなぎ先を普段からまとめておいてください。費用の負担が難しい相手のために、無料で使える公的な窓口も一覧に入れておくと現実的な案内ができます。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
