言いにくいことは勇気ではなく、切り出し方の型で伝わりやすくなります。型の作り方を整理します。
気づいていることがあるのに、傷つけそうで言えない。そのまま回を重ねて、同じところで止まったままになる。この記事では、言いにくいことを伝えるための順番と、相手が受け取れる形を整理します。
言いにくくなる理由

勇気の問題ではなく、型が無いことが原因です。
傷つけるかもしれないと思っている
相手の反応を想像するほど口が重くなります。言わないことで相手の時間が延びるという見方が抜けています。
関係が終わると思っている
嫌われて続かなくなるのではないか。その不安があると、気持ちよく終わる会話を選んでしまいます。
言う場面を決めていない
いつ言うかを決めていないと、毎回その場で判断します。判断している間に話が進み、機会を逃します。
自分の見立てに自信がない
外している可能性を考えると言えなくなります。断定ではなく問いの形にすれば外していても進みます。
契約が終わるのが怖い
一人で仕事をしているコーチは、言いにくいことを伝えることが収入に響くように感じます。そこが判断を鈍らせます。
伝える練習をしていない
普段から言い慣れていないと、その場で言葉が出ません。型を決めていないことがそのまま出にくさになります。
言わないことが優しさに見える
その場が穏やかに終わると、うまくいったように感じます。しかし進んでいないなら、回数を重ねただけになります。優しさと先送りは別のものです。
MIKATA編集部に届く個人で仕事をしている人の相談を読むと、伝えることについての困りごとは「言い方が分からない」より「言っていいのか迷う」という形で書かれています。技術より許可の部分で止まっています。
伝える内容を分ける
何を言うのかによって形が変わります。
| 伝える内容 | 相手が受け取る難しさ | 形 |
|---|---|---|
| 行動が変わっていない | 事実なので受け取りやすい | 記録を並べて示す |
| 話と行動がずれている | 指摘に聞こえやすい | 問いの形にする |
| 目標が現実的でない | 否定に聞こえやすい | 条件を一緒に数える |
| こちらが感じたこと | 主観なので反発が出やすい | 許可を取ってから話す |
事実は並べるだけでよい
記録を見ながら「三回とも同じ状態でした」と並べるだけで伝わります。評価を足すと指摘になります。
主観は許可を取ってから
こちらが感じたことを伝えるときは、「感じていることをお伝えしてもいいですか」と先に聞いてください。受け取る準備ができます。
記録を残しておく
その場の印象で話すと外れやすくなります。毎回の記録があると、事実として示せます。
目標そのものを扱う
目標が現実的でないと感じるときは、否定するのではなく必要な時間や条件を一緒に数えてください。数字を並べると本人が判断できます。
伝える時期を選ぶ
終わり際に切り出すと扱う時間がありません。前半のうちに出すほうが、その場で次の行動まで決められます。
切り出し方の型

順番を決めておくと迷いません。
- 伝えてよいか許可を取る
- 事実を並べる
- こちらの見立てを問いの形で出す
- 相手の受け取り方を聞く
- 次にどうするかを一緒に決める
許可を取る
「少し言いにくいことですが、目標に必要だと感じています。お伝えしてもいいですか」。この一言があると身構えずに聞けます。
問いの形にする
「できていません」ではなく「三回続けて同じ状態ですが、何が起きていますか」。問いにすると相手が考える側に回ります。
受け取り方を聞く
伝えたあとに「今の話をどう受け取りましたか」と聞いてください。ずれていればその場で直せます。
一度に一つだけ伝える
気づいたことをまとめて出すと、相手は否定されたと感じます。一番効く一つに絞ってください。
編集部で切り出し方を二通り用意して比べました。そのまま伝える形と、先に許可を取ってから伝える形です。後者のほうが相手の反応が穏やかで、そのあとの話も続きました。心の準備ができるためだと考えられます。
伝えたあとの扱い

伝えて終わりにしません。
▼ 伝えるときに確認すること
- □ 許可を取ってから話している
- □ 事実と見立てを分けている
- □ 評価の言葉を足していない
- □ 相手の受け取り方を聞いている
- □ 次の行動を一緒に決めている
- □ その場で結論を急いでいない
評価を足さない
「よくない」「甘い」。評価の言葉が入ると、内容よりその言葉が残ります。
次の行動まで決める
伝えるだけで終わると指摘になります。次に何をするかを一緒に決めるところまでが一つの流れです。
結論を急がない
その場で納得しなくても構いません。持ち帰って考えてもらい、次回に聞くほうが深く進むことがあります。
沈黙を埋めない
伝えたあとに相手が黙ることがあります。そこで言葉を足すと考える時間を奪います。待ってください。
反発が出たとき

受け取ってもらえないことがあります。
反発が出たときの順番
- 言い方ではなく受け取り方を聞く
- 外していたなら訂正する
- 外していないなら一度置く
- 次回に別の角度から出す
- それでも続くなら関係の見直しを話す
外していたら訂正する
見立てが違っていた場合は、そのまま訂正して構いません。間違えたことより、確かめずに進めるほうが問題になります。
一度置く
その場で押し通すと関係が硬くなります。伝えた事実は残るので、時間を置いてまた出せば足ります。
反発の中身を見る
内容への反発なのか、言われ方への反発なのかで次の手が変わります。後者なら同じ内容を別の言い方で出し直せます。
関係の見直しも選択肢にする
必要なことを伝えられない関係が続くなら、続けること自体を話し合ってください。言えないまま続けるほうが相手の不利益になります。
記録に残す
伝えた内容とそのときの反応を残しておくと、次回に触れるかどうかの判断ができます。
言える関係を先に作る

その場の工夫より最初の設計が効きます。
最初に伝えておく
契約のはじめに「気づいたことは言いにくいことでもお伝えします」と伝えておくと、実際の場面で切り出しやすくなります。
小さいことから伝える
大きな指摘だけをたまに出すと重くなります。小さな気づきを普段から伝えていると、受け取る側も慣れます。
聞く量を保つ
伝える回数が増えると一方的になります。聞く時間のほうが長い状態を保ってください。
できていることも同じ頻度で伝える
指摘だけが増えると受け取る力が下がります。進んでいる部分も同じくらい言葉にしてください。
自分の感情で言わない
進まないことへのこちらの焦りが混じると、言い方が強くなります。自分の状態を先に確かめてください。
記録して振り返る
伝えた内容とそのあとの変化を残しておくと、効く伝え方が分かってきます。
契約を理由に黙らない
続けてもらうために言わない判断をすると、結果として成果が出ず更新されません。伝えることが続くための条件でもあります。
伝え方は相手ごとに変える
直接言われるほうが動く人と、問いから入るほうが進む人がいます。同じ型を使いながら、強さだけを相手に合わせてください。
同業に相談する
言うべきかどうか迷った場面は、同じ立場の人に聞いてください。一人で決め続けると偏っていきます。
言えた回数を数える
言いにくいことを伝えられた回数を残しておくと、少しずつできていることが見えます。言えなかった場面ばかり覚えないようにしてください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. コーチが言いにくいことを伝えるとき、どう切り出せばよいですか。
A. 「少し言いにくいことですが、目標に必要だと感じています。お伝えしてもいいですか」と先に許可を取ってください。相手に心の準備ができ、身構えずに聞けます。
Q2. 指摘に聞こえないようにするには。
A. 「できていません」ではなく「三回続けて同じ状態ですが、何が起きていますか」と問いの形にしてください。評価の言葉を足すと、内容よりその言葉が残ります。
Q3. 伝えたあとに何をすればよいですか。
A. 「今の話をどう受け取りましたか」と聞き、次に何をするかを一緒に決めてください。伝えるだけで終わると指摘になります。
Q4. 反発されたらどうしますか。
A. 見立てが違っていたなら訂正し、外していないなら一度置いてください。その場で押し通すと関係が硬くなります。時間を置いて別の角度から出せば足ります。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
