初回の緊張は経験不足だけでなく、進め方が決まっていないことから来ます。型の作り方を整理します。
初回の面談前になると落ち着かない。何から聞けばよいか、どこまで踏み込んでよいか迷い、終わったあとに聞き漏らしに気づく。この記事では、初回面談の緊張の中身と、進め方の型の作り方を整理します。
初回で緊張する理由

経験の量だけが理由ではありません。
相手のことが分からない
どんな話が出るか、どこまで話したい人なのか。情報が無い状態で始まるため、準備しようがない部分があります。
時間内に収める必要がある
話を聞きながら残り時間も見ることになります。二つを同時に見ると緊張が増えます。
次につながるかを意識してしまう
初回は続けてもらえるかどうかが決まる場でもあります。そこを意識するほど、目の前の話に集中できなくなります。
進め方が決まっていない
毎回違う順番で進めていると、その場で組み立てることになります。型が無いことが緊張の大きな部分を占めます。
沈黙が怖い
相手が黙ったときに自分が失敗したと感じてしまい、言葉を足してしまう。沈黙の扱いが決まっていないと落ち着いていられません。
一人で仕事をしていると比べられない
組織に属していないカウンセラーは、他の人がどう進めているかを見る機会がありません。自分のやり方が極端になっていないかを確かめられないことが不安につながります。
MIKATA編集部に届く個人で仕事をしている人の相談を読むと、初回面談の悩みは「うまく聞けない」より「何を聞けばよいか決まっていない」という形で書かれています。技術より段取りの問題として現れています。
初回に必要なものを分ける
初回で扱うことは四つに絞れます。
| 扱うこと | 目的 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 進め方の説明 | 相手が構えずに済む | 三分から五分 |
| 困っていることを聞く | 主題を一つに絞る | 全体の半分 |
| これからの見通し | 続ける形が見える | 五分から十分 |
| 事務的な確認 | 料金・記録・連絡方法 | 五分 |
全部を聞き切ろうとしない
初回で背景を全部聞こうとすると、時間が足りません。困っていることを一つはっきりさせれば十分です。
事務の話を最後に置く
料金や記録の話を最初にすると、相手が話し出しにくくなります。終わりに回すと面談の空気が保てます。
聞き漏らしは次回でよいと決める
初回で完璧に把握する必要はありません。次回に回してよいものを先に決めておくと、その場で焦らずに済みます。
聞く項目を三つに絞る
困っていること、いつからか、どうなりたいか。この三つが取れていれば初回としては足ります。項目を増やすほど聞き取りの時間が延びます。
記録は面談中に取りすぎない
書くことに集中すると相手の様子が見えなくなります。単語だけ残して、終わってから整えるほうが面談の質が保てます。
進め方の型を作る

順番を決めておくと、毎回同じ質で進められます。
- 今日の流れと終わりの時刻を伝える
- 今日いちばん話したいことを聞く
- その話を具体的な場面まで下ろす
- これからの進め方を提案する
- 事務的な確認をして終える
最初に流れを伝える
「今日は五十分で、はじめに困っていることを伺い、最後にこれからの進め方をご相談します」。見通しがあると、相手も何を話せばよいか分かります。
場面まで下ろす
「つらい」で止めず、いつ、どこで、誰といるときかまで聞いてください。場面が出ると扱える形になります。
終わりの時刻を先に言う
時間を気にしながら聞くと集中が切れます。先に伝えておけば、残り時間の管理を二人で分け合えます。
料金と記録の説明を短くする
事務的な確認は五分で終わる形にまとめておいてください。説明が長いと面談の余韻が消えます。紙で渡せる部分は口頭で読み上げなくて構いません。
編集部で初回のやり取りを二通り用意して比べました。その場で話の流れに任せる形と、最初に流れを説明してから始める形です。後者のほうが相手の話が早く出て、終わりの時間も守れました。先に見通しを渡すと相手も構えずに済むためだと考えられます。
緊張したまま進めるための工夫

緊張を消そうとせず、あっても進む形にします。
▼ 初回の前に確認すること
- □ 流れを書いた紙を手元に置いた
- □ 終わりの時刻を決めてある
- □ 聞く項目を三つに絞ってある
- □ 事務的な確認事項をまとめてある
- □ 沈黙のときの扱いを決めてある
- □ 次回の提案の言い方を決めてある
紙を見ながら進めてよい
覚えようとせず、流れを書いた紙を手元に置いてください。見ながら進めることは失礼にはあたりません。
沈黙の扱いを決める
十秒は待つ、と決めておくと焦って言葉を足さずに済みます。相手が考えている時間をこちらが埋めないことが大事です。
うまく返そうとしない
よい言葉を返そうとすると、聞くことが止まります。聞いた内容をそのまま返すだけで十分に伝わります。
緊張していると伝えてよい場面もある
固くなっていることが相手に伝わっている場合、隠すほうが不自然になります。カウンセラーの側が取り繕わないほうが、相手も構えずに話せることがあります。
終わり際の進め方

最後の十分で続くかどうかが決まります。
初回の終わり際に進める順番
- 今日話したことを一分で要約する
- これから取り組む内容を二つか三つ挙げる
- 回数と間隔の目安を伝える
- 料金と連絡方法を確認する
- 決めるのは後日でよいと添える
その場で決めさせない
目の前で継続を聞かれると、断りにくさから曖昧な返事になります。考える時間を渡すほうが、はっきりした返事が返ってきます。
要約を渡す
今日話したことを短くまとめて返すと、相手は整理された感覚を持ちます。説明を足すより効きます。
扱えない相談は早く伝える
自分の範囲を超える内容だと分かったときは、初回のうちに伝えて医療機関や適切な窓口を案内してください。抱えたまま進めるほうが相手の不利益になります。
連絡方法を決めておく
次回の予約、キャンセルの連絡、面談以外の相談を受けるかどうか。初回で決めておかないと、後から個別に判断することになります。
型を育てていく

一度作った型は使いながら直します。
終わったあとに一行残す
うまくいかなかった点を一行だけ書いてください。長く振り返ると次の面談が重くなります。
聞けなかったことを次回の最初に置く
初回で聞き漏らした項目は、次回の冒頭で確認すると決めておいてください。その場で無理に詰め込むより、二回に分けたほうが相手の負担も小さくなります。
同じ質問が続く箇所を直す
相手から同じ質問が繰り返し出るなら、説明が足りていない箇所です。型のその部分を書き足してください。
時間配分を記録する
どこで時間を使いすぎたかを残しておくと、次から配分を変えられます。感覚では毎回同じ場所で延びます。
同じ型を三か月使ってから直す
毎回変えていると何が効いたのか分かりません。三か月は同じ型で回し、そのあとに一か所だけ変えてください。
緊張が減らなくても続けられる
何年やっても初回は緊張するものです。消すことを目標にせず、緊張していても進む形を持っておいてください。
同業に相談する場を持つ
一人で続けていると自分の型が偏ります。同じ立場の人と進め方を話す機会を定期的に作ってください。
初回だけ別に見直す
継続の面談とは求められるものが違います。カウンセラーとして初回の型だけを取り出して定期的に見直してください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 初回面談で緊張するのは経験不足だからですか。
A. 進め方が決まっていないことが大きな原因です。毎回違う順番で進めていると、その場で組み立てることになり、緊張が増えます。
Q2. 初回で何を扱えばよいですか。
A. 進め方の説明、困っていることを聞く、これからの見通し、事務的な確認の四つです。背景を全部聞こうとせず、困っていることを一つはっきりさせれば十分です。
Q3. 沈黙が怖いときはどうすればよいですか。
A. 十秒は待つと決めておくと、焦って言葉を足さずに済みます。相手が考えている時間をこちらが埋めないことが大事です。
Q4. 終わり際に継続の話をどう切り出せばよいですか。
A. 今日話したことを一分で要約し、取り組む内容と回数の目安を伝えてください。その場で決めさせず、決めるのは後日でよいと添えるほうが、はっきりした返事が返ってきます。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
