泣き出したときに困るのは、待つ時間の扱いが決まっていないからです。待ち方と戻し方を整理します。
話の途中で相手が泣き出したとき、何を言えばよいか分からずこちらが慌ててしまう。声をかけるべきか、黙って待つべきかで迷う。この記事では、泣いたときの待ち方と、そのあと面談を戻す順番を整理します。
泣かれたときに困る理由

困るのは対応の知識ではなく、決めていないことが原因です。
自分のせいだと感じる
聞き方を間違えたのではないかと考えてしまうと、目の前の相手より自分のことに意識が向きます。そこから慌てた対応になります。
沈黙の長さが分からない
どれだけ待てばよいかを決めていないと、数秒が長く感じます。耐えられずに言葉を足し、話の流れを切ってしまいます。
止めようとしてしまう
落ち着かせようとして話題を変えたり慰めたりすると、出かかっていた話が引っ込みます。泣くこと自体は止めるべきものではありません。
時間内に収まるか心配になる
残り時間が気になると、早く戻そうとします。焦りは伝わるため、相手も切り上げようとしてしまいます。
自分も引きずられる
内容が重いほどこちらの気持ちも動きます。動いたまま進めると判断が鈍ります。自分の状態を見ておく必要があります。
経験の少なさだけが理由ではない
何年やっていても泣かれる場面は毎回違います。慣れで解決するものではなく、そのときに何をするかを決めてあるかどうかで落ち着き方が変わります。
MIKATA編集部に届く個人で仕事をしている人の相談を読むと、泣かれたときの困りごとは「対応が分からない」より「自分が悪いことを聞いたのではないか」という形で書かれています。相手の涙より、こちらの動揺のほうが問題として現れています。
泣いている理由を分ける
同じ涙でも、扱い方が違います。
| 涙の種類 | 起きていること | こちらの動き |
|---|---|---|
| 話しながらあふれた | 整理が進んでいる | そのまま待つ |
| 言葉が出なくなった | 苦しさが強い | 待って呼吸を落ち着ける |
| 安心してこぼれた | 緊張がほどけた | 短く受け止める |
| 止まらなくなった | 負荷が上限を超えた | 話題をいったん置く |
多くはそのまま待ってよい
話しながら涙が出るのは整理が進んでいる場面です。止める必要はなく、こちらが黙っていれば自分で続けます。
止まらないときだけ動く
呼吸が浅くなる、言葉が出ない状態が続く場合は、話題をいったん置いて呼吸に意識を向ける形にしてください。
記録しておく
どの話題で涙が出たかを残しておくと、次回に扱う順番を決められます。触れる時期を選べるようになります。
初回かどうかで扱いを変える
初回で泣いた場合は、深く掘るより落ち着いて帰れる形を優先してください。関係ができる前に踏み込むと、次回に来られなくなることがあります。
同じ話題で毎回起きるとき
特定の話題でいつも涙が出る場合、そこが中心の主題です。避けるのではなく、扱う時間を長めに取って順番を組み直してください。
待ち方を決める

その場で判断せずに済むよう、先に決めておきます。
- 十数秒はそのまま待つと決める
- 視線を外し、圧をかけないようにする
- 紙を渡す動作は言葉を添えずに行う
- 落ち着いたら短く一言だけ返す
- 続けるかどうかを相手に聞く
視線を外す
見つめ続けると泣きやまなければという圧になります。少し視線を外して同じ空間にいる形にすると、相手は落ち着きやすくなります。
言葉を足さない
「大丈夫ですか」を繰り返すと、答える負担が生まれます。黙っていることも対応の一つです。
短く一言だけ返す
落ち着いてきたら「話してくださってありがとうございます」など短く一言。長い言葉はそのあとの話を止めます。
物を渡すときは黙って置く
紙を渡すときに言葉を添えると、泣きやむよう促している形になります。手の届く場所に置くだけにして、使うかどうかは相手に任せてください。
編集部で沈黙の扱いを二通り試して比べました。すぐに言葉をかける形と、十数秒そのまま待つ形です。後者のほうがそのあとに出てくる話が具体的で、面談も落ち着いて進みました。こちらが埋めない時間があると、相手が自分で続けられるためだと考えられます。
面談を戻す順番

泣いたあとにそのまま終えないための手順があります。
▼ 戻すときに確認すること
- □ 相手の呼吸が落ち着いた
- □ 続けるかどうかを本人に聞いた
- □ 残り時間を伝えた
- □ 触れた話題を無かったことにしていない
- □ 帰るまでの状態を確かめた
- □ 次回の扱いを決めた
続けるかを本人に聞く
こちらの判断で進めず、「続けられそうですか、それとも今日はここまでにしますか」と選べる形にしてください。
残り時間を伝える
あと何分かが分かると、相手も収め方を決められます。黙って進めると終わりが急に来ます。
無かったことにしない
触れた話題を避けて別の話に移ると、話してはいけなかったのだと受け取られます。「今日はここまでにして、続きは次回に伺います」と扱いを言葉にしてください。
時間が足りないときは延ばさない
残りが少ないからといってその日に収めようとすると、急ぎ足の対応になります。次回に回すと決めて、終わりの形を整えるほうが相手のためになります。
終わり際と帰るまで

終わってからの状態にも目を向けます。
泣いたあとの終わり際の順番
- 話した内容を短く要約する
- 今日の状態を確かめる
- 帰り道と今日の予定を聞く
- 連絡できる先を伝える
- 次回に扱う内容を決める
帰り道を確かめる
面談後は消耗しています。そのまま仕事に戻る予定かどうかを聞いておくと、無理のない終わり方を一緒に決められます。
連絡先を伝えておく
面談後に強くつらくなったときにどこへ連絡すればよいかを伝えておいてください。自分が受けられない時間帯は公的な窓口を案内します。
範囲を超えるときは案内する
継続して眠れない、食事が取れないといった状態が続く場合や、医療的な判断が必要な場合は、医療機関を案内してください。本記事は情報提供を目的としたもので、診断を行うものではありません。
次回の扱いを決めて終える
今日触れた内容を次回どう扱うかを一言決めてから終えてください。宙に浮いたままだと、次回まで相手が抱えることになります。
こちらの状態を整える

受け止める側にも消耗があります。
面談の後に間を空ける
重い面談の直後に次の予定を入れないでください。十分でも間があると、次の人に持ち込まずに済みます。
その日のうちに記録を終える
書けないまま持ち帰ると、面談の内容を何日も抱えることになります。短くても当日に書き終えて、そこで区切ってください。
動揺したことを責めない
慌ててしまった日があっても、それ自体は問題ではありません。次に同じ場面が来たときの動き方を一つ決めれば足ります。
一人で抱えない
同じ立場の人と話せる場を持ってください。内容を伏せた形でも、扱い方を相談できるだけで負担が変わります。
記録の書き方を決めておく
泣いた場面をどう記録するかを先に決めておくと、後で書きながらまた引きずることが減ります。
感情の動きも一行残す
自分がどう感じたかを記録の端に一行残しておくと、溜め込まずに済みます。誰かに見せるものではないので、短くて構いません。
自分の限界を決めておく
一日に受ける件数や重い相談を続けて入れないことを先に決めておいてください。続けるための条件です。
自分の反応を記録しておく
どの場面で慌てたかを残しておくと、自分が動きやすい話題が見えてきます。見えていれば先に構えを作れます。
個人で続ける仕事の工夫を、毎週お届けしています
よくある質問(FAQ)
Q1. 面談中にクライアントが泣いたらどうすればよいですか。
A. 十数秒はそのまま待ってください。話しながら涙が出るのは整理が進んでいる場面が多く、こちらが黙っていれば自分で続けます。
Q2. 声をかけたほうがよいですか。
A. 「大丈夫ですか」を繰り返すと答える負担が生まれます。視線を少し外して同じ空間にいる形にし、落ち着いてきたら短く一言だけ返してください。
Q3. 泣いたあとに面談をどう戻せばよいですか。
A. 続けるかどうかを本人に聞き、残り時間を伝えてください。触れた話題を避けて別の話に移ると、話してはいけなかったのだと受け取られます。
Q4. こちらが引きずってしまいます。
A. 重い面談の直後に次の予定を入れず、十分でも間を空けてください。同じ立場の人と扱い方を相談できる場を持っておくと負担が変わります。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
