既存の方への値上げは、改定日を先に決めて、理由は短く伝えると通ります。説明が長いほど、交渉の余地があるように見えます。
新規からは上げられても、長く来てくれている人には言い出せない。この状態が続くと、同じ内容で金額が二重のまま固定されます。
MIKATA編集部が個人サロンの相談を整理すると、値上げで離れた人数を実際に数えている方は少数でした。「たぶん離れる」という予想のまま据え置いている。数えた方の話では、離れたのは一部で、売上は上がっています。予想と実際がずれていることがあります。
伝える順番
- 改定日を決める(1〜2か月先)
- 書面か連絡で先に伝える(施術の場で切り出さない)
- 理由は1文(材料費・場所代・時間の見直しなど)
- 新しい金額と適用日を明記
- 回数券の扱いを書く(既存分は旧価格で使えるか)
5番目を忘れると、必ず問い合わせが来ます。購入済みの回数券をどう扱うかは、先に決めて書いておいてください。
有効期限がある場合は、その期限も一緒に書いてください。
期限が近い方には、個別に伝えておくと親切です。
そこで一度、使い方の相談もできます。
残りを使い切る予定も立てられます。
放置されるより、双方にとって良い形です。
期限切れは、いちばん不満が残る終わり方です。
| 伝え方 | 受け取られ方 |
|---|---|
| 施術直後に口頭 | 断りにくい場面で聞かされた |
| 当日に急に告知 | 準備の時間がない |
| 1〜2か月前に書面で | 考える時間がある |
| 理由を長く説明 | 交渉の余地があるように見える |
施術の場で切り出さない
その場では反応を返しにくく、帰ってから考え直されます。先に文字で伝えておけば、次に来た時点で受け入れている状態になります。
店内に掲示するだけでも構いませんが、個別に連絡しておくほうが確実です。気づかないまま来て、会計で初めて知る形はいちばん避けたい。
信頼を損なうのは値上げそのものではなく、知らされ方であることが多くあります。
金額そのものより、扱われ方が記憶に残ります。
丁寧に伝えれば、値上げでも関係は続きます。
実際、そのまま通い続ける方が多くいます。
値上げを理由に離れる人は、想像より少ない。
数えてみると、予想とのずれに気づけます。
据え置く判断も、その数字を見てから決めてください。
予約済みの分をどうするか
改定日より前に予約が入っている分は、旧価格で受けると先に書いておいてください。その一文があるだけで、問い合わせがほとんど来なくなります。
先に想定して書いておくほど、説明の手間が減ります。

文面の作り方
同じ値上げでも、いつ・どう伝えるかで受け取られ方が変わります。施術の直前や直後に口頭で切り出すと、断りにくい場面で聞かされた形になります。改定日より前に、書面や連絡で先に伝えるほうが、考える時間を渡せます。
必要なのは4行です。
- いつも来ていただいていることへの一言
- ◯月◯日から料金を改定すること
- 新しい金額(メニューごと)
- 回数券・予約済み分の扱い
謝罪を長く書かないでください。申し訳なさが前面に出ると、「では据え置いてほしい」と言われる余地が生まれます。
案内として、事実だけを短く伝えてください。
感謝の一言は入れて構いません。長くしないことが要点です。
理由は1文で足りる
「材料と場所の費用を見直した結果です」で足ります。内訳まで説明する必要はありません。
値上げ幅も書く
「◯◯円から◯◯円へ」と両方書いてください。新価格だけだと、いくら上がったのかを自分で計算させることになります。
メニューが複数あるなら、表にして並べてください。
見比べられる形にしておくと、質問が減ります。
掲示と個別連絡の両方に載せてください。
離れる人が出たとき
▼ 値上げ後に数えること
- □ 離れた人数
- □ 残った人数
- □ 月の売上(前月比)
- □ 空いた枠に新規が入った数
- □ 1件あたりの時間(余裕が出たか)
人数だけを見ないでください。人数が2割減っても単価が5割上がっていれば、売上は増えています。
空いた枠は、準備や記録の時間に使えます。1件あたりの中身が濃くなれば、残った方の満足度は上がります。
その結果、続く割合も上がります。
件数を減らして質を上げる形は、成立します。
受けられる枠には限りがあります。
無理に埋めるほど、質は落ちます。
離れた方を追わないでください。金額が理由なら、追っても同じ結論になります。
戻ってくる方もいます。他を試したうえで戻る場合、金額ではない理由で選ばれています。

摩擦を小さくする方法
▼ 段階を踏む形
- 新規からのみ新料金にする(既存は当面据え置き)
- 既存の方には、移行時期を先に伝えておく
- 回数券は購入済み分まで旧価格で使えるようにする
- メニューを見直して、内容の違いを作る
- 期限を決めて、全員を新料金に揃える
5番目を決めておいてください。二重価格を長く続けると、新しく来た方に説明できなくなります。
同じ施術で金額が違う状態は、遅かれ早かれ知られます。
そのときに説明できる状態にしておいてください。
4番目は値上げに見えにくい形です。時間を延ばす、内容を足す。違いを説明できるなら、別メニューとして出せます。
時間の差だけだと、安いほうが選ばれます。内容が違うと分かる形にしてください。
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上げる判断の目安
そもそも上げるべきかは、数字で決まります。
- 枠が埋まっているのに、手元に残らない
- 件数を増やす余地がなく、収入も増えない
- 材料費・場所代・光熱費が上がった
- 扱える施術の範囲が広がった
- 準備や片付けにかける時間が増えている
1番目と2番目が同時に起きているなら、料金以外に解決策がありません。
件数で調整できる段階を過ぎています。
この記事では相場を示しません。地域・メニュー・規模で幅が大きく、検証できる統計を持っていないためです。自分の稼働と経費から計算してください。
月に受けられる件数の上限と、必要な月の売上。この2つで1件あたりの金額が出ます。
経費には材料費・場所代・光熱費・学び直しの費用まで入れてください。
見落としやすいのは、学び直しと掲載の費用です。
年単位で払うものは、12で割って月額に直してください。

表現で気をつけること
説明と発信には、守るべき線があります。
- 医療行為と誤解される表現を使わない
- 治る・改善するといった効果の保証をしない
- 施術前後の写真を効果の証明として使わない
- 値上げの理由に、効果を強調して正当化しない
- 体調に不安がある人は、医療機関を案内する
4番目に注意してください。「効果が高いので値上げします」という形は、効果の保証に近づきます。費用と時間を根拠にするほうが安全で、説明としても通ります。
MIKATAでは、施術や相談を提供する方の掲載を扱っています。料金と形式を明記して掲載できるようにしているのは、検索から来た人が判断できる情報を必要としているためです。
値上げを先延ばしにしている状態は、続けるほど切り出しにくくなります。改定日を決めるところから始めてください。
日付が決まれば、文面は4行で済みます。
既存の方に伝えるのは負担のある作業ですが、先延ばしにしても軽くなりません。むしろ、据え置いた期間が長いほど「なぜ今」と受け取られやすくなります。
定期的に見直す形にしておけば、その都度の説明も短くなります。年1回、時期を決めておくのが現実的です。
据え置くという判断も、見直した結果です。毎年その時期に確認するだけで、切り出しにくさはかなり小さくなります。
相手にとっても、「毎年見直している」と分かるほうが受け入れやすくなります。


よくある質問(FAQ)
Q1. 既存の方にどう伝えればいいですか?
A. 改定日を1〜2か月先に決め、施術の場ではなく書面や連絡で先に伝えてください。理由は1文で足ります。
Q2. 回数券を持っている人はどうしますか?
A. 購入済み分の扱いを先に決めて、告知に書いてください。書いていないと必ず問い合わせが来ます。
Q3. 離れる人が出そうで怖いです。
A. 人数だけでなく売上で見てください。人数が2割減っても単価が5割上がっていれば売上は増えています。
Q4. 値上げの理由は何と言えばいいですか?
A. 「材料と場所の費用を見直した結果です」で足ります。効果を強調して正当化する形は避けてください。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
