強さだけを尋ねると本当の答えが返ってきません。力加減を確かめる聞き方を整理します。
「強さはいかがですか」と聞いても、ほとんどの人が「ちょうどいいです」と答える。終わってから強すぎたと言われることもある。この記事では、力加減が伝わらない理由と、強さ以外で確かめる聞き方を整理します。
力加減が伝わらない理由

聞いているのに答えが返ってこないのには理由があります。
うつ伏せで答えにくい
顔が下を向いている状態では声が出しにくく、短い返事になります。姿勢そのものが答えにくさを作っています。
断ると悪いと思われている
強いと言うことで気を悪くさせるのではないかと考えて、多くの人がちょうどいいと答えます。遠慮が前提にあります。
基準が分からない
初めて来た人はどのくらいが普通なのかを知りません。比べる基準が無い状態で強さを聞かれても答えようがありません。
その場では分からない
施術中は気持ちよく感じていても、翌日に痛みが出ることがあります。その場の感覚だけでは判断できません。
聞くタイミングが遅い
しばらく続けてから聞くと、そこまでの分を否定することになります。早い段階で聞くほど答えやすくなります。
こちらの聞き方が閉じている
「大丈夫ですか」「痛くないですか」ははいで終わる聞き方です。閉じた形で聞いている限り、返ってくる情報は増えません。
MIKATA編集部に届く個人サロンの相談を読むと、力加減についての困りごとは「聞いても答えてもらえない」という形で書かれています。聞き方そのものより、相手が答えにくい状況が作られていることが多く見られます。
何を確かめたいのかを分ける
力加減という言葉にはいくつかのことが混ざっています。
| 確かめたいこと | 聞き方の方向 | 調整の仕方 |
|---|---|---|
| 痛みが出ていないか | 痛みの有無で聞く | 圧を弱める |
| 物足りなくないか | 残っている感じで聞く | 時間を長くする |
| 部位が合っているか | 場所で聞く | 当てる位置を変える |
| 呼吸が乱れていないか | 見て判断する | 速さを落とす |
痛みと強さを分ける
強いことと痛いことは別です。「痛みは出ていませんか」と聞くと、強さでは返ってこない答えが出てきます。
物足りなさは別に聞く
弱いと言いにくい人もいます。「もう少し入れてもよさそうですか」とこちらから提案する形にすると、答えやすくなります。
見て判断する部分を持つ
呼吸が止まる、体に力が入る。言葉にならない反応が先に出ます。聞くだけに頼らないでください。
部位ごとに違うと考える
肩は強めがよくても腰は痛みが出る、ということがあります。全身を一つの強さで決めないでください。
希望と適切さを分ける
強いほうがよいと言われても、翌日に響く場合があります。希望をそのまま通すのではなく、理由を添えて調整することも必要です。
聞き方を変える

答える範囲を狭くすると、言葉が出てきます。
- 施術の早い段階で一度確かめる
- 部位を限って聞く(ここはいかがですか)
- 痛みの有無で聞く(強さではなく)
- こちらから提案する形にする
- 途中で変えてよいことを先に伝えておく
部位を限って聞く
全体の強さではなく、「肩のこの辺りはいかがですか」と場所を限ると、答えが具体的になります。調整もその場でできます。
提案の形にする
「弱くしましょうか」ではなく「少し弱くしてみますね」とこちらから動くと、相手は断らずに済みます。反応を見て戻せば十分です。
途中で変えてよいと伝える
最初に「途中でも遠慮なくおっしゃってください」と伝えておくと、言い出す許可を渡せます。一度言っておくだけで違います。
最初の一手で様子を見る
いきなり本来の圧で入らず、最初の数回で反応を見てください。そこで分かることのほうが、言葉より確かなことがあります。
編集部で確認の言い方を二通り試して比べました。「強さはいかがですか」と聞く形と、「ここは痛みが出やすい場所ですがいかがですか」と部位を限って聞く形です。後者のほうが具体的な返事が返り、調整もその場でできました。答える範囲が狭いほど言葉が出やすいと考えられます。
相手が言いやすい場を作る

聞き方だけでなく、場の作り方も関係します。
▼ 力加減を確かめるときの確認項目
- □ 早い段階で一度聞いている
- □ 部位を限って聞いている
- □ 痛みの有無で聞いている
- □ こちらから提案する形にしている
- □ 呼吸や体の力みを見ている
- □ 途中で変えてよいと先に伝えている
答えを急かさない
聞いてすぐ次の動作に移ると、答える時間がありません。一呼吸置いてから動いてください。
否定に聞こえる聞き方を避ける
「大丈夫ですよね」と聞くと、大丈夫と答えるしかありません。「いかがですか」と開いた形で聞いてください。
初回は特に丁寧に確かめる
初めての人は基準を持っていません。初回だけは二回以上確かめる形にしてください。
会話を求めない形にする
静かに受けたい人に何度も声をかけると休まりません。確認は短く、それ以外は静かに進めてください。
翌日の状態まで見る

その場の返事だけでは分からない部分があります。
施術後に確かめる順番
- 終わり際に当日の過ごし方を伝える
- 翌日に出やすい変化を先に説明する
- 次回の最初に前回の翌日を聞く
- 強すぎた場合は記録に残す
- 次回の圧を調整する
翌日を先に説明する
「明日は少しだるさが出ることがあります」と先に伝えておくと、出たときに驚かれません。報告ももらいやすくなります。
次回の最初に聞く
「前回のあと、翌日はいかがでしたか」。この一言があると、その場では言えなかったことが返ってきます。
強すぎた場合の伝え方を用意する
痛みが出たと言われたときに謝罪だけで終えず、次回はどう変えるかをその場で伝えてください。対応が決まっていると次も来てもらえます。
痛みが続く場合は案内する
施術後の痛みやしびれが数日続く場合は、こちらで原因を判断せず医療機関に相談するよう伝えてください。本記事は情報提供を目的としたもので、診断を行うものではありません。
記録して安定させる

聞いた内容を残すと、次から確かめる回数が減ります。
圧の強さを記録する
その人に合った強さを記録に残しておくと、次回は確認から始められます。毎回ゼロから探らずに済みます。
避ける部位を残す
痛みが出やすい場所は人によって違います。記録しておけば、次回は最初から外せます。
前回からの変化も残す
同じ場所が前回より柔らかいのか固いのか。一行残しておくと、次回の会話で変化として伝えられます。
言葉をそろえておく
強さの表現を自分の中で決めておくと、前回との違いを相手が実感できます。毎回違う言い方だと比べられません。
体調で変わることを伝える
同じ強さでもその日の体調で感じ方が変わります。前回と同じにしますねと言う前に、今日の状態を一度聞いてください。
聞く回数を決めておく
何度も聞くと落ち着いて受けられません。早い段階で一度、部位が変わったときに一度。回数を決めておくとちょうどよくなります。
セラピスト側の癖を見直す
疲れている日に圧が強くなる人もいます。自分の癖を知っておくと、その日の調整ができます。
定期的に自分の圧を確かめる
同業の人に受けてもらって感想をもらうと、自分の圧がどのくらいなのか分かります。一人で続けていると基準がずれていきます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 力加減を聞いても「ちょうどいい」としか返ってきません。
A. 強さで聞くと基準が無いため答えようがありません。「肩のこの辺りはいかがですか」と部位を限り、「痛みは出ていませんか」と痛みの有無で聞くと具体的な答えが返ってきます。
Q2. 弱いと言ってもらえません。
A. 「もう少し入れてもよさそうですか」とこちらから提案する形にしてください。「弱くしましょうか」ではなく「少し弱くしてみますね」と動くと、相手は断らずに済みます。
Q3. いつ聞けばよいですか。
A. 施術の早い段階で一度確かめてください。しばらく続けてから聞くと、そこまでの分を否定することになり、答えづらくなります。初回は二回以上確かめる形にしてください。
Q4. その場では分からないと言われます。
A. 翌日に出やすい変化を先に説明し、次回の最初に「前回のあと、翌日はいかがでしたか」と聞いてください。その場では言えなかったことが返ってきます。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
