回数を聞かれて困るのは答えが無いからではなく、見立てを言葉にしていないからです。伝える順番を置きます。
何回くらいで終わりますかと聞かれて、はっきり答えられない。人によると答えると、相手が不安そうな顔をする。この記事では、回数の質問に答えにくい仕組みと、見立てを伝える順番を整理します。
MIKATA編集部に届く個人事業の相談では、回数の質問について「断言できないので濁してしまう」という書き方が出てきます。困っているのは答えの無さではなく、伝える形のほうです。
回数に答えにくい仕組み

見立てが立たないのではなく、見立てを伝える形が無い状態です。
初回では決まらない
何が起きているかは数回話してから見えてきます。初回の時点で回数を言い切ると、あとから変えにくくなります。
断言できないと濁してしまう
正確に答えようとするほど「人によります」に寄ります。受け取る側には何も決まっていないように聞こえます。
終わりの定義がない
どうなったら終わりかを決めていないと、回数も決まりません。終わりの形が先です。
続けてほしい気持ちが混ざる
継続してもらいたい気持ちがあると、回数を多めに言うことも少なめに言うこともしづらくなります。
相手の事情が分からない
費用や時間の都合は聞いてみないと分かりません。分からないまま答えると見当違いになります。
相談内容によって幅が大きい
一つの場面を整理したい相談と、長く続いてきた困りごとでは、必要な期間が大きく違います。同じ言い方で答えようとすると、どちらにも合わない数字になります。
成果が数で出ない
体重や点数のように測れるものではないため、終わりの判断も話し合いで決まります。決め方が共有されていないと、回数の話もつかみどころがなくなります。
途中で変わることを説明していない
見立ては進むにつれて変わります。変わることを先に伝えていないと、変えたときに食い違いになります。
段階に分けて答える

全体の回数ではなく、いまの段階の回数を伝えます。
見立てのための数回
最初の数回は何が起きているかを確かめる期間です。ここは回数を言い切れます。
取り組む期間
見立てが立ってから、どのくらいの期間を見るかを改めて伝えます。ここで初めて全体の目安が出ます。
| 段階 | 回数の目安 | その期間にすること |
|---|---|---|
| 見立て | 2〜4回 | 状況と背景を確かめる |
| 見立ての共有 | 1回 | 分かったことと方針を伝える |
| 取り組む期間 | 見立て時に提示 | 決めた方針で進める |
| 振り返り | 数か月ごと | 続けるか区切るかを確かめる |
| 終わりに向けて | 数回 | 間隔を空けて確かめる |
初回で伝えるのは最初の段階だけ
「まず二回から四回で状況を確かめます」と伝えると、断言せずに見通しを示せます。
終わりの形を先に決める
何がどうなったら区切りとするのかを、最初の段階で相手と一緒に決めておきます。形が決まっていれば、回数の話もそこから逆算できます。
見立てを共有する回を作る
確かめた内容を改めて伝える回を置きます。そこで全体の目安も一緒に出します。
伝えるまでの順番

初回の説明の中に組み込んでおきます。
編集部で、カウンセリングの案内文を書き出して比べました。回数だけを書いているものより、最初の数回で何を確かめるのかが書かれているもののほうが、初回前の問い合わせが少なくなっていました。
見立てを伝える手順
- 初回の冒頭で、最初の数回の役割を説明する
- その期間の回数を具体的に伝える
- 見立てを共有する回を予告する
- その回で、分かったことと方針を言葉にする
- 取り組む期間の目安を伝える
- 数か月ごとに振り返る日を決める
最初に役割を説明する
最初の数回は何をする期間なのかを冒頭で伝えます。役割が分かると、すぐ変化が無くても不安になりにくくなります。
見立ては言葉にして渡す
頭の中にあるだけでは伝わりません。何が起きていると考えているか、どう進めるつもりかを短く言葉にします。
変わることを先に伝える
進むにつれて見立ては変わる、と先に伝えておきます。変えたときに食い違いになりません。
費用と時間の都合を聞く
どのくらいの頻度で続けられるかを聞いてから目安を出します。相手の条件に合わない案は続きません。
方針は一つに絞って伝える
複数の進め方を並べると、相手は選べません。いま取る方針を一つ示し、合わなければ変えると添えるほうが進みます。
振り返る日を決める
数か月ごとに続けるかどうかを確かめる日を決めておきます。区切りがあると、終わりの話も自然に出せます。
案内に書いておくこと

初回の前に読んでもらう形にします。
▼ 案内文のチェック
- □ 最初の数回の役割を書いた
- □ その期間の回数を書いた
- □ 見立てを共有する回があると書いた
- □ 見立てが変わることがあると書いた
- □ 振り返る時期を書いた
- □ 頻度と費用の目安を書いた
問い合わせが減る
先に書いてあると、初回の前に同じ質問を受ける回数が減ります。初回の時間も本題に使えます。
途中でやめる自由も書く
いつでも終えられることを書いておくと、始めるときの負担が下がります。続けなければという圧が減ります。
他の支援につなぐ場合も書く
医療や公的な支援が適切な場面ではつなぐことがあると先に書いておきます。そのときの説明が短く済みます。
間隔の変え方も書く
週に一度から月に一度へと間隔を広げていく形も書いておきます。終わりが急に来るのではなく段階を踏むと分かれば、続ける不安が減ります。
記録を残しておく
実際に何回でどう区切ったかを残しておくと、次に伝える目安が自分の経験から出せます。
避けたほうがいい答え方

正確であろうとする答えが、不安を残すことがあります。
人によりますで終える
正確ではありますが、受け取る側には何も決まっていないように聞こえます。最初の段階だけでも数を添えてください。
少なめに言って安心させる
三回程度で、のように短く言うとその場は安心しますが、超えたときにうまくいっていないと受け取られます。
多めに言って余裕を持つ
長い期間を先に示すと、費用の面で始める前に離れます。段階に分けるほうが判断してもらえます。
見立てを伝えないまま進める
何を考えているかを共有しないまま続けると、相手は進んでいるかどうかを確かめられません。
回数を成果の証拠にする
早く終わったことをうまくいった証として語ると、長くかかっている人が自分を責める材料になります。回数と成果は分けて扱います。かかる時間は抱えているものの大きさで決まります。
終わりの話を避ける
区切りの話を出さずにいると、終えるときに急な話になります。先に振り返る日を置いておきます。
見立てが変わったときは
進めるうちに最初と違う見え方になることがあります。
変わったことを伝える
黙って方針を変えると、相手には分からないまま進みます。変わった内容をそのまま共有してください。
範囲を越えたときはつなぐ
医療の対象と考えられる状態や、生活の支援が要る場面では、医療機関や自治体の相談窓口、精神保健福祉センターなどにつないでください。
記事の内容は目安として使う
この記事は伝え方の順番を示すものです。扱う内容や所属する団体の指針によって適切な形は変わります。自身の資格要件と倫理綱領を優先してください。
見立てを共有する回を大切にする
この回があるかどうかで、そのあとの進み方が変わります。話す内容を毎回同じ型にしておくと、準備の負担も減ります。
個人で続ける仕事の整え方を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 初回で回数を聞かれたらどう答えますか。
A. 全体ではなく最初の段階だけを答えてください。「まず二回から四回で状況を確かめます」と伝えると、断言せずに見通しを示せます。
Q2. 人によりますと答えるのは不親切ですか。
A. 正確ではありますが、受け取る側には何も決まっていないように聞こえます。段階ごとの数を添えるだけで、印象が変わります。
Q3. 見立てが途中で変わったらどうしますか。
A. 変わることがあると先に伝えておき、実際に変わったらその内容を共有してください。黙って方針を変えると食い違いになります。
Q4. 終わりの話はいつ出しますか。
A. 数か月ごとに振り返る日を先に決めておくと、その場で自然に出せます。区切りが無いまま続けると、終えるときに急な話になります。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
