言うかどうかで迷うのは度胸の問題ではなく、確かめる順番を踏んでいないからです。踏む順番を置きます。
勤めながらコーチングを始めたい。ただ、会社に伝えるべきかが分からない。黙って始めてあとで問題になるのも避けたい。この記事では、判断が止まる仕組みと、確かめる順番を整理します。
MIKATA編集部に届く個人事業の相談では、副業について「規定を読んだことがない」という前提で迷いが語られることがあります。判断の材料がまだ手元に無い段階です。
判断が止まる仕組み

勇気の問題ではなく、確かめていない項目が残っている状態です。
規定を読んでいない
就業規則に何が書かれているかを確かめないまま考えると、想像で判断することになります。
禁止と許可制を混ぜている
副業そのものが禁止なのか、届け出れば可能なのか。扱いが違うのに同じものとして考えると進みません。
税の届出と勤め先を混ぜている
税務署への開業届は税の手続きであって、勤め先への報告とは別のものです。混ぜるとどちらも止まります。
知られたときの想像が先に立つ
見つかったらどうなるかを先に考えると、確かめる前に動けなくなります。
名乗り方を決めていない
公開の場で何をどこまで出すかが決まっていないと、知られる範囲も読めません。
本業への影響が読めない
時間や体力をどれだけ使うかが見えていないと、本業に響くかどうかも判断できません。
相談できる相手がいない
同じ立場の人が周りにいないと、どう進めたかの例が手に入りません。
確かめる項目を分ける

勤め先の話と手続きの話を分けて並べます。
勤め先の扱い
就業規則の副業に関する条項。禁止か、許可制か、届出制か。まずここを読みます。
税の手続き
開業届や確定申告は所得が出てからの話です。勤め先の判断とは切り離して考えます。
| 確かめる項目 | どこで確かめるか | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 副業の可否 | 就業規則 | 始められるかどうか |
| 届出の要否 | 就業規則・人事 | 手続きの有無 |
| 競業にあたるか | 就業規則の競業避止 | 内容の調整が要るか |
| 勤務時間との関係 | 就業規則・自分の予定 | 受けられる時間帯 |
| 開業届 | 税務署 | 税の手続き |
| 社会保険の扱い | 所得の規模による | 将来の判断材料 |
競業にあたるかを見る
勤め先と同じ領域で仕事を受けると、競業の条項に触れることがあります。扱うテーマの範囲で調整できる場合もあります。
勤務時間外かどうかを押さえる
多くの規定は勤務時間外の活動を対象にしています。受ける時間帯が勤務時間と重ならない形にできるなら、判断の材料が一つ整います。
所得の規模で扱いが変わる
小さい規模のうちは手続きも少なく済みます。規模が大きくなってから考えることと、いま決めることを分けておくと進めやすくなります。
読んでも分からないとき
条文の読み方で迷うときは、人事に一般的な質問として聞くか、労働に関する公的な相談窓口で確かめられます。
確かめてからの順番

読む、決める、始める。この順で進めます。
編集部で、開業に関わる手続きを順に並べて確かめました。勤め先への扱いと税務署への届出は別のもので、混ぜて考えると判断が進まなくなることが分かりました。
判断の手順
- 就業規則の副業に関する条項を読む
- 禁止・許可制・届出制のどれかを確かめる
- 競業にあたる内容かどうかを見る
- 許可や届出が要るなら、先に出す
- 公開の場で名乗る範囲を決める
- 所得が出たら、税の手続きを進める
規定を先に読む
言うかどうかを考える前に、何が定められているかを読みます。禁止されていないと分かれば、迷いの半分はその時点で消えます。
許可制なら先に出す
許可や届出が要る形なら、始める前に出します。あとから出すと、無断で始めた期間が残ります。
出し方を工夫する
届け出るときは、本業に支障が出ない範囲であることと、競業にあたらないことを添えます。判断する側の材料になります。
名乗る範囲を決める
本名で出すか、屋号だけにするか。公開の場でどこまで出すかを先に決めると、あとから変えずに済みます。
無償から始める手もある
練習の段階では料金を取らない形もあります。所得が発生しないうちは手続きも要らず、規定の扱いも変わることがあります。ただし、規定の確認は同じように行います。
本業の予定を先に押さえる
受けられる時間帯を先に決めておくと、本業に影響しない形で枠を作れます。
始める前のチェック

動く前に確かめる場所を置きます。
▼ 始める前のチェック
- □ 就業規則の該当条項を読んだ
- □ 禁止・許可制・届出制のどれか分かった
- □ 競業にあたらないか確かめた
- □ 必要なら許可や届出を出した
- □ 公開の場で名乗る範囲を決めた
- □ 受けられる時間帯を決めた
始める時期を選ぶ
本業が忙しい時期に重ねると、どちらも中途半端になります。落ち着いている時期に始めるほうが、続けられる形を作りやすくなります。準備だけ先に進める手もあります。
記録を残す
届け出た日付ややり取りの内容を残しておくと、あとから確かめられます。
収支を最初から分ける
事業用の口座を分けておくと、所得が出たときの手続きが楽になります。始めるときに作っておきます。
クライアントに事情を説明しない
勤めながら受けていることを細かく説明する必要はありません。受けられる時間帯と連絡が返せる時間を伝えておけば足ります。
所得の目安を知っておく
確定申告が必要になる所得の目安は国税庁の案内で確かめられます。先に知っておくと、慌てずに済みます。
受ける本数の上限を決める
月に何本まで受けるかを先に決めておくと、本業に響く前に止められます。増やすのは回してみてからです。
本業への影響を測る
始めてから睡眠や本業の成果がどう変わったかを記録します。影響が出ているなら本数を調整します。
避けたほうがいい進め方

先に動くと戻しにくくなります。
確かめずに始める
規定を読まないまま始めると、あとから禁止だと分かることがあります。始めたあとでは戻すのが難しくなります。
同僚に相談する
同じ職場の人に話すと、こちらの意図とは別に伝わることがあります。確かめるなら規定と人事です。
勤務時間中に進める
連絡や準備を勤務時間に入れると、内容以前の問題になります。時間の線ははっきり引きます。
勤め先の情報を使う
顧客の情報や業務で得た知見を持ち出すと、副業の可否とは別の問題になります。扱う内容は切り分けます。
上司にだけ口頭で伝える
口頭のやり取りだけだと記録が残りません。担当者が変わったときに伝わっていないことになります。届出の形があるなら使います。
公開の場で勤め先を出す
信頼の材料にしたくなりますが、勤め先の名前を出すと許可の要否が変わります。出さない形で始めるほうが安全です。
確かめ先を持っておく
判断がつかない部分は公的な窓口で確かめられます。
労働に関する相談先
就業規則の読み方や副業の扱いで迷うときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが使えます。無料で相談できます。
税と手続きの相談先
開業届や確定申告の扱いは所轄の税務署で確かめられます。個人事業者向けの相談も受け付けています。
記事の内容は目安として使う
この記事は確かめる順番を示すものです。勤め先の規定は会社ごとに違います。実際の判断は自社の就業規則と公的な窓口で確かめてください。
規定が変わることもある
就業規則は改定されることがあります。始めたときの内容のままだと思わず、年に一度は最新のものを確かめておきます。
個人で続ける仕事の整え方を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社に言わずに始めてもいいですか。
A. まず就業規則を読んで、禁止・許可制・届出制のどれかを確かめてください。許可や届出が要る形なら、始める前に出すほうが後に残りません。
Q2. 開業届を出すと会社に分かりますか。
A. 開業届は税務署への手続きで、勤め先への報告とは別のものです。ただ、公開の場で名乗ると知られる可能性は上がるので、出す範囲は先に決めてください。
Q3. 競業にあたるか分かりません。
A. 就業規則の競業避止に関する条項を確かめてください。読み方で迷うときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで無料で相談できます。
Q4. 同僚に相談してもいいですか。
A. こちらの意図とは別に伝わることがあります。確かめる先は規定と人事にしておくほうが確実です。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
