電話対応が怖いのは経験不足ではなく、その場で考える形になっているからです。先に決めておく型を整理します。
鳴った瞬間に体がこわばる。取ってからの受け答えより、取るまでの数秒がいちばんつらい。職場の電話対応が怖いという状態は、回数を重ねれば慣れるとは限りません。この記事では、怖さの中身を分けたうえで、出る前に決めておく型と、詰まったときの逃げ道を整理します。
怖さの中身を分ける

電話が怖いといっても、何が怖いのかは人によって違います。分けると、手当てが決まります。
聞き取れないことへの不安
相手の名前や社名が聞き取れず、聞き返すことに抵抗がある。この場合、聞き返し方の型を持っていないことが原因です。
その場で答えられないことへの不安
知らないことを聞かれたらどうしよう、という不安です。実際にはその場で答える必要のない用件がほとんどですが、答えなければいけないと思い込んでいると取るのが怖くなります。
周りに聞かれていることへの不安
同僚や上司がいる場所で話すため、受け答えを評価されている感覚があります。電話の相手ではなく、周囲が怖さの対象になっている場合があります。
敬語や言い回しへの不安
正しい言い方が分からないまま話すことへの不安です。この場合は、使う言い回しを紙にしておけば消えます。
MIKATA編集部に届く職場の相談を読むと、電話対応の困りごとは「話せない」ではなく「周りに聞かれているのがつらい」という形で書かれています。相手とのやり取りより、同僚の前で失敗する場面のほうが恐れられている。扱う対象が電話そのものではないことが分かります。
怖さのタイプ別に手当てを決める
どのタイプかで、先に用意するものが変わります。
| タイプ | 起きていること | 用意するもの |
|---|---|---|
| 聞き取り | 名前や社名が取れない | 聞き返しの型を三つ |
| 応答 | その場で答えられない | 折り返しの型を一つ |
| 周囲 | 同僚の前で失敗したくない | 失敗しても構わないと決める |
| 言い回し | 敬語に自信がない | 頻出の言い回しを一覧にする |
多くは応答型で解決する
四つのうち、いちばん多いのは応答型です。「担当の者に確認して折り返します」の一文があれば、ほぼすべての用件をその場で答えずに終えられます。この一文を持っているかどうかで、取るまでの負担が変わります。
聞き取り型は型で消える
聞き返す言い方が決まっていないと、聞き取れなかった瞬間に固まります。「もう一度お願いできますか」「お名前をもう一度伺えますか」の二つを紙に書いておくだけで、この場面は通せます。
言い回し型は一覧で足りる
敬語に自信がない場合、使う言い回しは実際には十個ほどしかありません。受ける、取り次ぐ、折り返す、断る。場面ごとに一つずつ書いておけば、考えずに済みます。
周囲型は評価の前提を外す
聞かれていることが怖い場合、受け答えの練習をしても軽くなりません。周りは自分の作業をしていること、多少詰まっても誰も覚えていないことを前提として置き直してください。
出る前に決めておく型

鳴ってから考えると間に合いません。紙に書いて、電話の横に置いてください。
- 最初の一言(会社名と自分の名前)を固定する
- 聞き返す一文を決める(もう一度お願いできますか)
- 確認する一文を決める(○○様でお間違いないでしょうか)
- 折り返す一文を決める(確認して折り返します)
- 終わりの一文を決める(失礼いたします)
五つの型で大半は回る
電話の受け答えは、この五つでほとんどの場面を通せます。覚える必要はなく、見える場所に置いておけば足ります。
最初の一言を固定する
取った瞬間に何と言うかが決まっていないと、そこで一拍空きます。その空白が、そのあとの受け答え全部に影響します。会社名と自分の名前を同じ言い方で毎回出せるようにしてください。
メモの形も決めておく
誰から、どこの、何の件で、折り返しは必要か。この四項目を書いた紙を用意しておくと、聞くべきことが決まります。聞き漏らしが減ると、そのあとの負担も減ります。
MIKATA編集部でこの話題を調べたところ、上位に出てくるのは電話の仕組みを扱う企業の記事が中心で、手順やマナーの解説がほとんどでした。怖さという感情の側を扱った記事は少なく、「慣れましょう」で終わっているものが目立ちます。手順を知っていても怖い、という状態が扱われていない領域です。
詰まったときの逃げ道

詰まる場面は必ずあります。そのときの言い方を決めておいてください。
▼ 逃げ道として用意する言葉
- □ 聞き取れなかったとき:もう一度お願いできますか
- □ 分からないとき:確認して折り返します
- □ 保留にしたいとき:少々お待ちください
- □ 名前が取れないとき:恐れ入りますがお名前を
- □ 長くなりそうなとき:担当の者におつなぎします
- □ 切りたいとき:ありがとうございました。失礼いたします
聞き返すことは失礼ではない
聞き返さずに間違えるほうが、相手にとっては負担になります。一度で聞き取れなくても、確認して正しく伝えるほうが仕事として正しい対応です。
切りたいときの言葉も決めておく
話が終わったのに切れない、という場面も負担になります。「ありがとうございました。失礼いたします」を終わりの合図として固定しておくと、自分から切れます。
保留は使ってよい
その場で答えられないとき、無理に話し続ける必要はありません。保留にして、近くの人に聞くか、折り返しに切り替えてください。沈黙のまま考えるより短く終わります。
周囲との関係で減らせる負担

個人の準備で減らない部分は、職場の側で調整できることがあります。
職場に相談するときの順番
- 困っている事実を業務の言葉にする(聞き漏らしが起きている)
- 自分がすでにやっている工夫を示す
- 決めてほしいことを一つ出す(取次のルール、担当の明確化)
- 決まったことを周囲にも共有してもらう
取次のルールを決めてもらう
誰に取り次ぐかが決まっていないと、毎回その判断が発生します。用件別の取次先を一覧にしてもらえないか相談してみてください。自分だけでなく、他の人の負担も減ります。
すでにやっている工夫を先に示す
何も準備していない状態で相談すると、「まず慣れましょう」で終わります。型を紙に書いている、メモの項目を決めているといった工夫を先に示すと、次の手として何をするかの話に進みます。
練習を頼んでもよい
同僚に相手役を頼んで数回やってみるだけで、最初の一言の詰まりは減ります。本番でしか練習できない状態が、怖さを長引かせています。
それでもつらい状態が続くとき

準備と工夫で扱える範囲を越えている場合があります。
電話以外の場面にも広がっていないか
人前で話す場面、対面のやり取りにも同じ反応が出ている場合は、電話対応の準備だけでは軽くなりません。その場合は緊張そのものを扱う方向で考えてください。
体の反応が出ているとき
鳴った瞬間に動悸がする、手が震える、出社前から気が重い。こうした状態が続いている場合は、医療機関や相談窓口に状況を伝えてください。本記事は情報提供を目的としたもので、診断を行うものではありません。
業務の割り振りを相談してもよい
電話対応が業務の中心でない場合、担当の割り振りを相談する余地があります。苦手だからと言いにくければ、聞き漏らしが起きているという事実で相談する形にできます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 電話対応は回数を重ねれば慣れますか。
A. 手順を知っていても怖い状態は、慣れだけでは変わらないことがあります。怖さの中身が聞き取り・応答・周囲・言い回しのどれかを分けたうえで、それぞれに型を用意してください。
Q2. その場で答えられないのが怖いです。
A. 「確認して折り返します」の一文があれば、ほぼすべての用件をその場で答えずに終えられます。この一文を紙に書いて電話の横に置いておいてください。
Q3. 聞き返すのが失礼な気がします。
A. 聞き返さずに間違えるほうが相手の負担になります。確認して正しく伝えるほうが、仕事として正しい対応です。
Q4. 同僚に聞かれていることが怖いです。
A. 受け答えの練習をしても軽くなりません。周りは自分の作業をしていること、多少詰まっても誰も覚えていないことを前提として置き直してください。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
