資格を取っても仕事が来ないのは実力不足ではなく、資格が「誰の何を扱えるか」を示さないためです。先に決めるのは扱う範囲で、次が経験の場所です。
学び終えて、いざ始めようとすると何をすればいいか分からない。この段階で止まる人は多く、止まる理由もほぼ共通しています。
MIKATA編集部が資格取得後の相談を整理すると、「何でも相談してください」と掲げている人ほど問い合わせがありませんでした。相談する側は、自分の状況を扱ってもらえるかを知りたい。範囲が書かれていないと、自分向けかどうかを判断できません。
最初に決める3つ
- 対象:誰の相談を受けるか(年代・立場・場面)
- 範囲:何を扱い、何を扱わないか
- 形式:オンラインか対面か、1回何分か
この3つが決まらないと、発信も料金も決められません。順番として、集客より先です。
集客の方法を先に学ぶ人が多いのですが、何を届けるかが決まっていない状態で届け方だけを整えても、受け取る側には何も残りません。
先に決めるのは、届ける中身のほうです。
| 書き方 | 相談する側に起きること |
|---|---|
| 心のお悩み全般 | 自分向けか判断できない |
| 寄り添うカウンセラー | 他と区別がつかない |
| 30代女性の職場の人間関係 | 当てはまる人が自分の話として読む |
| 復職前の不安 | 場面が特定できて選ばれる |
対象を絞ると仕事が減るのでは
減るのは対象外の人からの通過だけです。絞られていないと、当てはまる人も自分向けだと気づけません。
絞る単位は、悩みの種類ではなく場面にしてください。「人間関係」ではなく「上司との関係」、「不安」ではなく「復職前の不安」。場面まで書かれていると、その状況にいる人が自分の話として読みます。
あとから変えられる
最初に決めた対象を、一生続ける必要はありません。件数を積むうちに、自分が力を出せる場面が見えてきます。そのときに書き直せば足ります。
最初から正解を選ぶ必要はありません。書いてみて、来た相談を見て、直す。この順番のほうが早く決まります。

経験を積む場所を持つ
資格は一定の訓練を受けた証明にはなりますが、誰を対象にするか、どう進めるかは示しません。相談する側が選ぶときに見ているのは、資格名より扱う場面と進め方です。取得後に足りないのは実力ではなく、その2つを言葉にする作業であることが多い。
開業していきなり有料相談だけで始めるのは、件数が読めず不安定です。
- 相談を扱う事業所や施設で働く
- 電話相談やチャット相談の担い手として登録する
- 既存のサービスに登録して、指名を受ける
- 勤務と並行しながら、少数の枠で始める
件数を積むこと自体が、扱う範囲を決める材料になります。何を相談されることが多いか、どの場面で自分が動けるかが分かってきます。
向いていない相談も分かります。扱わない範囲を決める材料は、実際に受けた経験からしか出てきません。
学び直しは走りながら
次の講座を受けてから始めよう、と考えるといつまでも始まりません。実際の相談で出た課題に合わせて学ぶほうが、身につく速度も速くなります。
スーパービジョンを受けられる場を持つ
一人で抱えると、自分の判断が妥当かを確認する相手がいません。経験のある人に相談できる関係を1つ持っておくと、扱える範囲が広がります。
同じ立場の人と話せる場も役に立ちます。一人で活動していると、自分だけが進んでいないように見えてきます。
実際には、同じ時期に同じところで止まっている人が多くいます。
比較する相手を減らして、自分の対象と範囲を決めることに時間を使ってください。
見つけてもらう場所を用意する
▼ 最低限、置いておく情報
- □ 扱う対象と場面
- □ 扱わない範囲
- □ 1回の時間と料金
- □ 申し込み方法
- □ オンラインか対面か
これが1か所に置かれていないと、紹介された人も申し込めません。
SNSだけだと投稿が流れ、あとから探した人が見つけられません。常に置かれている場所を1つ持ってください。
掲載サービスを使う方法もあります。自分でサイトを作る前に、扱う範囲を書いて出せる場所があるほうが早く始まります。
サイトは、件数が動き始めてからでも間に合います。
先に作り込むと、何を書けばいいか決まらないまま時間が過ぎます。
実績ゼロの時期の書き方
件数の少なさより、扱う範囲が分からないことのほうが選ばれない理由になります。経歴を長く書く必要はありません。何ができるかが伝わる形にしてください。
「まだ経験が浅いので」と書く必要もありません。扱う範囲を正直に狭く書けば、それが誠実さとして伝わります。
逆に、実力以上に見せると扱えない相談が来て、双方が消耗します。
狭く始めて、広げていく。この順番のほうが、続けやすくなります。

収入の立て方
▼ 無理のない立ち上げ
- 他の収入を保ったまま、少数の枠で始める
- 月に受けられる件数の上限を決める
- 必要な売上から、1件あたりの金額を逆算する
- 件数が安定してから、比重を移す
先に辞めてから始めると、件数が読めない時期に焦って条件を下げます。安く始めると、あとで値上げの連絡が必要になります。
この記事では平均収入を示しません。働き方と稼働量で幅が大きく、検証できる統計を持っていないためです。他人の数字より、自分が受けられる件数から計算してください。
生活費を相談の収入だけで賄おうとすると、件数を追うことになります。並行して他の収入があるうちのほうが、扱う範囲を守った判断ができます。
焦って条件を下げた結果、合わない相談を受け続けることになるのがいちばん避けたい形です。
集客や発信の整え方についてLINEで配信しています。
止まりやすい場所
- 完璧に準備してから:準備は終わらない
- もっと学んでから:学びに終わりはない
- 実績ができてから発信:発信しないと実績もできない
- 誰かに認められてから:認めるのは相談する側
どれも、始める条件を自分で上げ続けている状態です。
最初の1件を受けるために必要なのは、対象と範囲と形式が書かれた場所が1つあることだけです。それ以外は、受けながら整えられます。
最初の相談で完璧にできる人はいません。終わったあとに記録を残し、次に活かす。その繰り返しです。
完璧を目指すより、扱えない部分を正直に伝えられるほうが信頼につながります。
資格は入口であって、そこから何を扱う人になるかは自分で決めます。決めた範囲を書いて出せば、最初の1件は動き始めます。
資格を取ったあとに仕事がない期間は、多くの人が通ります。実力の問題として受け取ると動けなくなりますが、扱う範囲を書く作業だと分かれば、今日から手をつけられます。
紙に3行書くだけで始まります。誰の、どんな場面を、どの形式で扱うか。
それが決まれば、次に何をするかも決まります。

守るべき線
相談を扱う以上、守るべき範囲があります。
- 診断名を用いて相手の状態を断定しない
- 治る・改善するといった効果の保証をしない
- 医療が必要な状態は、医療機関を案内する
- 特定の個人が識別できる事例を書かない
- 自分の扱えない相談は、扱えないと伝える
最後の項目が最も難しく、最も重要です。断ることは仕事を失うことではなく、扱える範囲を示す行為です。
扱えないまま受け続けると、相談する側にとっても時間の損失になります。別の相談先や医療機関につなげられることも、専門性の一部です。
出典:厚生労働省「こころの耳」
MIKATAでは、相談を受ける方の掲載を扱っています。扱う範囲と形式を明記して掲載できるようにしているのは、検索から来た人が判断できる情報を必要としているためです。


よくある質問(FAQ)
Q1. 資格を取ったのに仕事がありません。
A. 資格は訓練の証明にはなりますが、誰の何を扱うかを示しません。対象と範囲を先に決めてください。
Q2. 対象を絞ると仕事が減りませんか?
A. 減るのは対象外の人からの通過だけです。絞られていないと、当てはまる人も自分向けだと気づけません。
Q3. 実績がない状態で何を書けばいいですか?
A. 経歴ではなく、扱う対象と場面を書いてください。件数の少なさより、扱う範囲が分からないことのほうが選ばれない理由になります。
Q4. もっと学んでから始めるべきですか?
A. 実際の相談で出た課題に合わせて学ぶほうが速く身につきます。始める条件を上げ続けると、いつまでも始まりません。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
