指導が苦手なのは厳しくなれないからではなく、何を伝えるかが決まっていないからです。伝える中身の決め方を置きます。
後輩に指摘しなければいけないのに、言葉が見つからない。言い方を和らげるほど何も伝わらない。この記事では、指導が苦手になる仕組みと、事実と影響で伝える手順を整理します。
MIKATA編集部に届く相談では、この話題は伝え方が分からないという形より、言ったあとの空気が重くなるのが嫌だという形で書かれています。言葉そのものよりそのあとが気になっています。
後輩指導が苦手になる仕組み

苦手さの中身は言い方ではなく何を言うかが決まっていないことです。
伝える内容が決まっていない
気になっていることはあるのに、何をどう変えてほしいかが言葉になっていません。その状態で話すと曖昧な指摘になります。
人柄の話になってしまう
やり方ではなく性格や姿勢の話になると、相手は受け取りようがありません。直す対象が示されていないためです。
嫌われたくない
指摘したあとの空気の重さを避けたい気持ちがあると、言葉が弱くなります。伝わらないまま終わります。
自分の経験を基準にする
自分がされた指導をそのまま使おうとすると、合わないことがあります。受けた指導がよかったとは限りません。
結果だけを見ている
出てきたものだけを見て指摘すると、どこでつまずいたかが分かりません。同じことが繰り返されます。
自分のやり方を説明できない
自分が感覚でやっている部分は言葉にできません。説明できないところほど指摘も曖昧になります。
言う機会が空く
気になってから時間が経つほど言いにくくなります。溜めてから言うと量が増えます。受ける側も一度に扱えません。
MIKATA編集部に届く相談では、この話題は伝え方が分からないという形より、言ったあとの空気が重くなるのが嫌だという形で書かれています。言葉そのものよりそのあとが気になっています。
伝わらない指摘の形
言い方の問題ではなく中身の形で伝わり方が変わります。
良かれと思ってを付ける
前置きが長いと本題が薄まります。何を言われたかが残りません。気づかいの部分だけが印象に残ります。
まとめて言う
複数の指摘を一度に出すと、どれから直せばいいかが分かりません。
直し方を言わない
良くないとだけ言われても次に何をすればいいかが分かりません。指摘には次の一手が要ります。直し方まで含めて一組です。
他人と比べる
別の人を引き合いに出すと、内容ではなく評価として受け取られます。
質問の形にする
なぜこうしたのかと聞く形にすると、詰問に聞こえることがあります。事実を先に置くほうが安全です。
人前で言う
同じ内容でもほかの人がいる場では受け取り方が変わります。場所を選ぶだけで違います。人の目がある場では守る側に回ります。
編集部で、指摘の言い方を三つに分けて四週間記録しました。人柄に触れる言い方、やり方だけを言う言い方、事実と影響を並べる言い方。相手がその場で質問を返した回数は事実と影響を並べた場合に最も多く出ました。人柄に触れた場合は返事が短くなりました。
事実と影響で伝える手順

何が起きたかと、それで何が起きるかを分けて並べます。
事実を先に置く
見たことをそのまま一つだけ言います。解釈や評価を混ぜません。事実だけなら言い返される部分がありません。
影響を続けて言う
それによって何が起きるかを続けます。理由が分かると直す意味が見えます。納得のうえで変えるほうが続きます。
次の一手を示す
どうすればいいかを一つだけ出します。選ばせるより具体的なほうが動けます。
指摘を伝える手順
- 見たことを一つだけ事実として言う
- それによって何が起きるかを言う
- 次にどうするかを一つ示す
- 相手の見え方を一度聞く
- いつ確認するかを決めて終える
相手の見え方を聞く
こちらの見方がすべてではありません。相手の側の事情を一度聞くと、原因が違うことも分かります。手順の説明が足りていない場合もあります。
確認の時期を決める
いつ見直すかを決めておくと、言いっぱなしになりません。相手も区切りが持てます。
一度に一つにする
その場で扱うのは一つだけにします。残りは次の機会に回して構いません。
場面ごとの伝え方

同じ手順でも場面で調整が要ります。
同じ間違いが続くとき
回数を責める前に、手順のどこでつまずいているかを一緒に見てください。理解の問題か仕組みの問題かで対応が変わります。
急ぎの場面
その場で止める必要があるときは、先に止めてからあとで理由を伝えます。
相手が落ち込んでいるとき
状態が良くないときに重ねると入りません。日を分けるほうが結果として早く済みます。
年上の後輩のとき
経験のある相手には、指導の形ではなく確認の形で出すほうが受け取られます。
良かったことを伝えるとき
同じ手順が使えます。事実とそれによって何が良かったかを並べると、具体的に伝わります。褒め方も同じ形で足ります。
| 伝え方 | 相手に届くもの | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 人柄に触れる | 評価されたという印象 | 返事が短くなる |
| やり方だけを言う | 直す場所 | 理由が分からず戻る |
| 事実と影響を並べる | 直す場所と理由 | その場で質問が出る |
伝えたあとの扱い
言ったあとの過ごし方で次の指摘がしやすくなります。
空気を埋めに行かない
重くなった空気をその場で打ち消そうとすると、指摘が弱まります。普段どおりに戻れば足ります。機嫌を取りに行くと次から言いにくくなります。
変わった部分を見る
直った部分に気づいたらその場で言います。指摘だけが続かなくなります。
決めた時期に確認する
確認すると決めた日に必ず見ます。言いっぱなしは次の指摘を軽くします。
繰り返すときは形を変える
同じ指摘を三度するなら、伝え方ではなく手順や仕組みを変える場面です。
記録を残す
いつ何を伝えたかを短く残すと、評価の場面でも説明できます。記憶だけでは回数が曖昧になります。
こちらの負担も見る
指導は本来の業務に上乗せされています。抱えきれない量なら分担を相談してください。一人で背負う前提ではありません。
▼ 指摘する前の確認
- □ 伝えることを一つに絞った
- □ 事実と解釈を分けている
- □ それによって何が起きるかを言える
- □ 次にどうするかを一つ用意した
- □ 人前ではない場所を選んでいる
それでもうまくいかないときは

個人の伝え方では扱えない場面があります。
生活に影響が出ているとき
眠れない、出勤前に体が重い、休みの日も仕事のことが離れない。そうした状態が続くときは、伝え方の工夫だけで抱えず、医療機関や相談窓口を先に使ってください。
指導の範囲を超えているとき
勤務態度や契約に関わる内容は個人で扱う範囲を超えています。上長や人事に渡してください。
こちらが責められるとき
指摘したことでこちらが責められる状況なら、伝え方の問題ではありません。記録を残して相談できる先に持っていってください。
相手が応じないとき
何度伝えても変わらない場合は、一人で抱え続けないでください。役割として分担する場面です。
窓口を先に調べておく
社内の相談先や自治体の労働相談は、落ち着いている日に調べておくと使いやすくなります。
苦手なままでよい
指導が得意になる必要はありません。伝える中身が決まっていれば足ります。

人との距離の取り方を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 後輩への指摘が苦手です。
A. 苦手さの中身は言い方ではなく、何をどう変えてほしいかが言葉になっていないことです。伝える中身が決まっていれば、指導が得意になる必要はありません。
Q2. どう伝えれば届きますか。
A. 見たことを一つだけ事実として言い、それによって何が起きるかを続け、次にどうするかを一つ示します。編集部の記録では、この形のときに相手からの質問が最も多く出ました。
Q3. やってはいけない伝え方はありますか。
A. 性格や姿勢の話にすると、直す対象が示されないため受け取りようがありません。複数の指摘をまとめて出すと、どれから直せばいいかも分からなくなります。
Q4. 何度言っても変わらないときは。
A. 同じ指摘を三度するなら、伝え方ではなく手順や仕組みを変える場面です。勤務態度や契約に関わる内容は個人で扱う範囲を超えるため、上長や人事に渡してください。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
