優先順位がつけられないのは判断力の問題ではなく、締切だけを基準にしているからです。止まる仕事かどうかを先に見ると、順番は自然に決まります。
やることは全部わかっている。それなのに、どれから手をつけるかで固まってしまう。結局いちばん手軽なものから始めて、重い仕事が夕方まで残る——という話です。
MIKATA編集部が仕事の相談を整理すると、優先順位で困っている人の多くが締切の近さだけで並べていました。この方法は、締切が同じ日に集まった瞬間に機能しなくなります。一方で回せている人の話には、「自分が止まると他人も止まる仕事」を先に出す、という共通の判断が入っていました。
締切だけで並べると、必ず詰まる
締切は重要な情報ですが、それだけでは順番が決まりません。同じ日に3件あれば、そこで判断が止まります。
そして締切だけを見ていると、「今日中ではないが、渡さないと相手が動けない仕事」が後回しになります。自分の締切は守れているのに、周りが待っている状態が生まれます。
さらに厄介なのは、締切が近いものほど「まだ間に合う」と判断を先送りできてしまう点です。余裕があるうちは動かず、余裕がなくなってから一斉に動く。この形だと、常に締切ぎりぎりで仕事をしていることになります。
- 締切が同じ日の仕事が2件以上ある
- 自分は間に合っているのに催促が来る
- 手軽なものから始めてしまう
- 重い仕事が毎日夕方まで残る

先に見るのは「止まるかどうか」
並べ替えの基準を1つ足します。その仕事を出さないことで、誰かの作業が止まるかどうかです。
- 他人が待っている:確認、承認、素材の受け渡し。最優先
- 自分だけで完結する:締切順で構わない
- 着手が遅れると量が増える:溜まる種類の仕事
- やらなくても誰も困らない:後回しでよい
1つ目を先に片づけると、全体の流れが速くなります。たとえ5分で終わる確認でも、出さなければ相手の半日が止まることがあります。自分の作業量ではなく、影響範囲で見るのがこつです。
▼ 朝いちばんに確認する項目
- □ 誰かが自分の返事を待っている仕事はないか
- □ 5分で終わって相手が動ける仕事はないか
- □ 今日やらないと量が増える仕事はないか
- □ 締切が同じ日に重なっていないか
- □ 重い仕事を、午前に1つ置いたか
重い仕事を午前に置く
順番が決まっても、重い仕事は後ろに逃げがちです。これは意志ではなく、時間帯の問題として扱ったほうが解決します。
- 午前は判断力が残っているので、考える仕事を置く
- 午後は、手を動かすだけの仕事を置く
- 会議のあとに重い仕事を入れない
- 重い仕事は、着手だけを目標にする
会議のあとに重い仕事を入れないのも実用的な工夫です。会議では判断を何度も求められるため、終わった直後は考える力が落ちています。そこに考える仕事を置くと、時間だけ使って進みません。
最後の項目が効きます。「資料を仕上げる」ではなく「見出しだけ書く」と決めれば、始めるハードルが下がります。止まっている仕事のほとんどは、完成ではなく着手で止まっています。

割り込みが入ったときの扱い
順番を決めても、割り込みは来ます。そのたびに全体を組み直していると、そこで時間が消えます。
- 割り込みが来たら、その場で3つに分ける:今すぐ/今日中/今日でなくていい
- 「今すぐ」以外は、いったんメモに置く
- 手を止めるのは、相手が止まっている場合だけ
- 1日2回、メモを見る時間を決めておく
すべての依頼に即応すると、自分の仕事が常に中断された状態になります。返事を早くすることと、着手を早くすることは別です。「明日の午前に着手します」と返せば、相手の不安は解消します。
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それでも決められないときの単純な手
基準を持っても迷う日はあります。そういうときは、考える時間を切ります。
- 3件だけ紙に書く。4件目以降は書かない
- そのうち「誰かが待っているもの」に丸をつける
- 丸がなければ、いちばん重いものを選ぶ
- 選んだら、25分だけやる
最後の25分という区切りにも意味があります。終わりが見えていると始めやすく、途中まででも進んだ事実が残ります。その日のうちに完了しなくても、翌日の着手が軽くなります。
選択肢を3つに絞るのが要点です。10件のリストを前に順番を決めるのは、誰にとっても負荷の高い作業です。全体を並べ替えようとせず、次の1件だけ決めてください。

量そのものが多すぎる場合
順番を工夫しても終わらないなら、それは優先順位の問題ではなく量の問題です。その場合、個人の段取りでは解決しません。
- 毎日残業しないと終わらない状態が続いている
- 休憩を取れない日が続いている
- 抱えている案件数を、自分でも把握しきれない
- 休日に持ち帰らないと回らない
こうした場合は、順番の相談ではなく「量の相談」として上司に持っていく必要があります。そのときも、感覚ではなく一覧を見せるほうが伝わります。
社内で言い出しにくい場合は、外部の相談先で一度整理してから臨む方法もあります。自分の状態を客観的に言葉にできると、交渉の材料が作りやすくなります。


よくある質問(FAQ)
Q1. 締切が全部今日の場合はどうすればいいですか?
A. 誰かが待っているものを先に出してください。全部は間に合わないと判断した時点で、遅れるものについて先に連絡を入れるほうが、結果的に影響は小さくなります。
Q2. 上司から次々と依頼が来て、順番が崩れます。
A. 依頼を受けた場で「今抱えているものとどちらを先にしますか」と確認してください。順番を決めるのは本来こちらの仕事ではなく、依頼者と共有すべき判断です。
Q3. 優先順位をつけても、結局着手できません。
A. 着手できないのは順番ではなく、1件が大きすぎることが原因です。最初の15分で終わる作業まで分解してから、それを予定に置いてください。
Q4. 仕事量が多すぎると感じます。相談していいですか?
A. 抱えている案件を一覧にして、量として相談してください。残業が常態化している、休日に持ち帰っているといった状態は、個人の段取りで解決する範囲を超えています。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
