カウンセラーが怪しいかどうかは、資格の有無だけでなく、「高額な長期契約を急がせる」「不安をあおる」「医療やほかの相談先を否定する」といった行動で見分けるのが確実です。カウンセラーと名乗るのに国家資格は必要ないため、料金や契約の説明が明確か、自分で決める余地を残してくれるかを、申し込む前に確かめましょう。
SNSで見つけたカウンセラーの初回無料セッション。話をじっくり聞いてもらえて、久しぶりに心が軽くなった。ところが終わり際、「あなたの問題は根が深いので、半年間の集中プランが必要です。今日決めれば特別価格になります」と数十万円の契約を勧められる。断ったら見捨てられる気がして、その場で返事をしそうになる。
カウンセリングは、つらいときに大きな支えになるものです。だからこそ、弱っている気持ちにつけ込むような契約や、相談者を依存させるような関わり方には注意が必要です。この記事では、カウンセラーが「怪しい」と言われる理由、注意したいサインのチェックリスト、安心できるカウンセラーの条件、申し込む前に聞いておきたい質問、トラブルにあったときの相談先をまとめました。
この記事でわかること
- カウンセラーが「怪しい」と言われやすい理由と資格の違い
- 注意したいカウンセラーのサインのチェックリスト
- 安心できるカウンセラーの条件と、申し込み前の質問リスト
- 高額契約などのトラブルにあったときの相談先
カウンセラーが「怪しい」と言われる理由
カウンセラーが怪しいと言われやすいのは、「カウンセラー」「心理カウンセラー」と名乗るのに国家資格が必要なく、知識や経験、料金の差がとても大きいからです。信頼できる人も多い一方で、質の確認が相談者側に任されているのが現状です。
カウンセリングに関わる主な資格
| 資格・肩書き | どんなものか | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 公認心理師 | 公認心理師法にもとづく心理職の国家資格。登録を受けた人だけが名称を使える | 勤務先や所属、どの分野で経験を積んできたか |
| 臨床心理士 | 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格。指定の大学院修了などが受験の条件 | 得意な相談分野、カウンセリングの方法 |
| その他の民間資格 | 団体ごとに認定。数日の講座で取れるものから、長い研修が必要なものまでさまざま | 認定団体、研修の内容、実際の相談経験 |
| 資格なし | 自分の経験をもとに相談を受けている場合など | 何を根拠に、どこまでの相談を受けているか |
民間資格や資格なしだから怪しい、とは限りません。反対に、国家資格を持っていれば誰とでも相性がいいわけでもありません。資格は判断材料の一つと考え、次の章で紹介する「行動」とあわせて見るのがおすすめです。資格の違いは公認心理師と臨床心理士の違いで詳しく解説しています。
怪しいカウンセラーの見分け方|注意したいサイン
注意したいのは、相談者の不安を利用して契約やお金、依存に結びつけようとする行動です。次のチェックリストで、気になっているカウンセラーに当てはまるものがないか確かめてみてください。
▼ 注意したいサインのチェックリスト
- □ 高額な長期プランを、その日のうちに決めるよう急かす
- □ 「このままだと不幸になる」など、不安をあおる言葉が多い
- □ 医療機関の受診や薬を否定し、やめるよう勧める
- □ 家族や友人、ほかの相談先を「あなたをわかっていない」と否定する
- □ 「絶対に良くなる」「〇回で解決する」と成果を保証する
- □ 料金表やキャンセル規定が見当たらない、聞いてもはぐらかされる
- □ 「いつでも連絡して」「私だけがわかってあげられる」と依存を促す
- □ 高額な講座や資格、商品、開運グッズの購入に誘導する
- □ 個人的な食事や交際、お金の貸し借りに持ち込もうとする
- □ 話した内容の秘密をどう守るか、説明がない
一つでも強く当てはまるなら、その場で契約せず、いったん持ち帰って考えましょう。複数当てはまる場合は、ほかのカウンセラーや相談先も検討することをおすすめします。
高額な長期契約を急がせる
「今日決めれば割引」「枠が残りわずか」と、考える時間を与えない勧誘は注意が必要です。信頼できるカウンセラーは、相談者が落ち着いて検討することを尊重します。一回ずつ受けられるのか、途中でやめたら返金はあるのかを必ず確認しましょう。
不安をあおり、ほかの相談先を否定する
「あなたの問題は深刻」「家族はあなたの敵」といった言葉で不安を強め、ほかの支えから引き離そうとするのは危険なサインです。相談者の人間関係を狭めるほど、カウンセラーへの依存が強まりやすくなります。
医療を否定する
眠れない、食べられないなど心身の不調が強いときに、受診を止めたり、処方された薬をやめるよう勧めたりするのは特に注意が必要です。信頼できるカウンセラーは、必要に応じて医療機関の受診を勧めます。
成果を保証する
心の問題の回復には個人差があり、誰にでも同じ結果を約束することはできません。「〇回で必ず変われる」といった宣伝は、それだけで判断するのは避けましょう。

安心できるカウンセラーの条件
安心できるカウンセラーは、料金・時間・契約の条件を最初に明確に示し、相談者が自分で決めることを尊重し、必要なときは医療やほかの支援につないでくれます。注意したいサインと比べてみると、違いがはっきりします。
| 確認ポイント | 安心できる対応 | 注意したい対応 |
|---|---|---|
| 料金 | 1回あたりの料金や追加費用が事前にわかる | 料金がはっきりせず、あとから増える |
| 契約 | 1回ずつ受けられる、検討の時間をくれる | まとめ払いの長期契約を急かす |
| 資格・経歴 | 資格、所属、経験を説明できる | 質問すると不機嫌になる、はぐらかす |
| 秘密の扱い | 守秘義務と、その例外を説明してくれる | 説明がない、ほかの相談者の話を漏らす |
| 医療との関係 | 必要に応じて受診を勧める | 受診や薬を否定する |
| 終わり方 | 目標や回数の目安、終わり方を話し合える | 終わりの話をすると引き止められる |
料金の考え方はカウンセリング料金の考え方|金額より先に見る4項目で、選び方の全体像はカウンセラーの選び方|資格より先に見る3つのことで紹介しています。
申し込む前に確かめたい質問リスト
申し込む前に料金・回数・キャンセル・資格・秘密の扱いについて質問し、はっきり答えてもらえるかどうかで、多くのことが判断できます。質問すること自体は失礼ではありません。誠実なカウンセラーほど、丁寧に答えてくれるはずです。
そのまま使える質問の例
「料金は1回いくらですか。ほかにかかる費用はありますか」
「1回ずつ申し込むことはできますか。途中でやめる場合はどうなりますか」
「キャンセルの規定を教えていただけますか」
「どのような資格や、相談の経験をお持ちですか」
「話した内容の秘密は、どのように守られますか」
「医療機関を受診したほうがいい場合は、どうなりますか」
答えをはぐらかされる、質問したことを責められる、といった反応があれば、それ自体が判断材料になります。オンラインで探している場合は、オンラインカウンセリングの選び方もあわせて確認してください。
SNSで見つけたカウンセラーの場合
SNSで発信しているカウンセラーにも、信頼できる人はたくさんいます。ただ、プロフィールだけでは判断しにくいのも事実です。料金表やキャンセル規定が公開されているか、運営者の情報がわかるか、DMだけで高額な契約に進もうとしていないかを確かめましょう。
カウンセラーへの依存を防ぐためにできること
依存を防ぐには、最初に目標と回数の目安を決め、定期的に振り返り、カウンセラー以外の支えも残しておくことが大切です。つらい時期に誰かを頼ること自体は自然なことで、悪いことではありません。
目標と区切りを決めておく
「眠れるようになりたい」「職場の人間関係を整理したい」など、カウンセリングで目指すことを最初に話しておくと、終わりが見えやすくなります。何回くらいで変化を確かめるかの目安は、カウンセリングの効果はいつから?3回で見る判断基準が参考になります。
ほかの支えを手放さない
友人、家族、医療機関、趣味の場など、カウンセラー以外にも頼れる場所を残しておきましょう。支えが一つしかないと、その人の言葉に強く影響されやすくなります。
自分の状態を振り返る
- カウンセラーなしでは何も決められなくなっていないか
- 連絡が取れないと、強い不安に襲われないか
- 料金の負担が、生活を圧迫していないか
当てはまる場合は、カウンセラーとそのことを率直に話し合ってみてください。終わり方についてはカウンセリングのやめどきで詳しく紹介しています。

高額契約などのトラブルにあったときの相談先
高額な契約や解約のトラブルにあったら、記録を残したうえで、消費者ホットライン「188」に相談するのが最初の一歩です。188に電話すると、お住まいの地域の消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。
トラブルにあったときの手順
- 契約書、領収書、申込画面、LINEやメールのやりとりを保存する
- 追加の支払いや新たな契約は、いったん止める
- 消費者ホットライン「188」に電話して相談する
- クレジットカードで支払った場合は、カード会社にも相談する
- 脅されている、つきまとわれているなど身の危険があるときは、警察相談専用電話(#9110)や警察に相談する
- 法律的な対応が必要な場合は、法テラスで相談窓口を探す
契約の内容によっては、解約や返金について助言を受けられる場合があります。「自分が契約したのだから仕方ない」と一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
「怪しい」と「合わない」は分けて考える
注意したいサインが見当たらないのに違和感がある場合は、カウンセラーが怪しいのではなく、相性が合わないだけかもしれません。相性は、カウンセリングの効果に影響する大切な要素です。
話し方のペースが合わない、助言が多すぎる、なんとなく本音を話しにくい。そうした違和感は、伝えて調整してもらえることもありますし、担当を変える理由にもなります。担当の変え方はカウンセラーが合わないと感じたら|担当を変える手順で紹介しています。
MIKATA編集部の視点
MIKATA編集部は、カウンセラーを選ぶときにいちばん大切なのは、「この人の前で、断ったり質問したりできるか」だと考えています。弱っているときほど、優しく話を聞いてくれた相手の提案を断るのは難しいものです。だからこそ、料金を聞く、持ち帰って考える、ほかの人とも比べる、といった当たり前の行動を受け入れてくれるかどうかが、信頼できるかを見分けるいちばんの手がかりになります。迷ったら、その場で決めないことを自分との約束にしてください。
怪しいカウンセラーについてよくある質問
Q1. 怪しいカウンセラーの特徴は?
A. 高額な長期契約をその場で決めさせようとする、不安をあおる、医療機関や家族など他の相談先を否定する、「必ず良くなる」と成果を保証する、といった行動が代表的です。一つでも強く当てはまる場合は、契約を急がず、いったん持ち帰って考えましょう。
Q2. 民間資格のカウンセラーは怪しいですか?
A. 民間資格だからといって、すぐに怪しいとは言えません。ただし民間資格は団体ごとに取得条件がさまざまなため、資格名だけでなく、料金や契約の説明が明確か、医療が必要なときに受診を勧めてくれるかといった対応で判断することが大切です。
Q3. インスタやSNSで見つけたカウンセラーは大丈夫?
A. SNSで発信しているカウンセラーの中にも、信頼できる人はいます。申し込む前に、料金表やキャンセル規定、資格や経歴、運営者の情報が確認できるかをチェックし、DMだけで高額な契約を求められる場合は慎重に判断しましょう。
Q4. 高額なカウンセリング契約をしてしまったらどうすればいい?
A. 契約書や領収書、やりとりの記録を保存したうえで、消費者ホットライン「188」に相談してください。お住まいの地域の消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえ、契約の内容によっては解約や返金について助言を受けられる場合があります。
Q5. カウンセラーに依存してしまうのは悪いことですか?
A. つらい時期に支えを頼ること自体は悪いことではありません。ただし、カウンセラーなしでは何も決められない、連絡が取れないと強い不安になるといった状態が続くなら、目標や期間をカウンセラーと話し合い、ほかの支えも少しずつ増やしていくことが大切です。
執筆・編集:MIKATA編集部
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定のカウンセラーや事業者を評価するものではありません。契約や返金に関する判断は、消費生活センターや法律の専門家にご相談ください。
