自分だけ忙しく感じるのは気のせいとは限らず、量が見えていないだけのことがあります。確かめる順番を置きます。
周りは定時で帰るのに、自分だけ手が空かない。言えば愚痴になりそうで、確かめないまま抱えている。この記事では、偏りが生まれる仕組みと、感覚ではなく量で確かめる順番を整理します。
MIKATA編集部に届く働き方の相談では、「自分だけ多い気がする」という書き方が繰り返し出てきます。気がする、という形で止まっているのは、確かめる手立てが見つかっていないからです。
偏りが生まれる仕組み

能力の差ではなく、割り振られていない作業の行き先の問題です。
気づいた人がやる形になっている
担当が決まっていない作業は、先に気づいた人のところに集まります。気づきやすい人ほど引き受ける数が増えます。
頼みやすい人に寄る
断らない、嫌な顔をしない、期限を守る。頼む側から見て安心な相手には、次も同じように来ます。
引き受けた作業が見えない
正式な担当でない作業は記録に残りません。残らない作業は誰の目にも入らないまま時間だけを使います。
処理が速いと量が増える
早く終わらせるほど手が空いたように見えます。空いたところに次が入る形になります。
周りの状況が見えていない
自分の忙しさは全部見えますが、他の人の作業は見えている分しか分かりません。見えない分がある前提で比べる必要があります。
引き継ぎが自分に戻ってくる
一度やったことのある作業は、次も自分のところに来ます。詳しいから早い、という理由が重なると、その作業が事実上の担当になります。
言い出す場面がない
業務量の話をする機会が決まっていないと、切り出すこと自体が不満の表明に見えます。見えるぶん、言いにくくなります。
感覚ではなく量で見る

忙しさの感じ方と、実際の量は別に確かめます。
時間で見る
残業時間、休憩を取れた日数、持ち帰った作業の有無。数で出るものから確かめます。
件数で見る
担当している案件の数、一日に来る依頼の数。同じ職場の中で比べられる単位を選びます。
| 確かめる項目 | 見る単位 | 分かること |
|---|---|---|
| 残業時間 | 週あたりの合計 | 時間として多いか |
| 休憩を取れた日 | 週あたりの日数 | 余裕があるか |
| 担当案件の数 | 同僚との比較 | 割り振りの偏り |
| 割り振り外の作業 | 一週間の件数 | 見えていない量 |
| 中断された回数 | 一日あたり | 作業の細切れ度 |
| 同じ作業にかかる時間 | 自分と同僚 | 効率の差 |
割り振り外の作業を数える
担当表に載っていないのにやっている作業を書き出します。ここがいちばん見えていない部分です。
仕事の質でも見る
量が同じでも、判断が要る作業と手順どおりの作業では消耗が違います。件数だけでなく、判断を求められた回数も数えておきます。判断の多い日ほど、終業後に残る疲れが大きくなります。
効率の差も見ておく
同じ作業に人より時間がかかっているなら、量ではなくやり方のほうに理由があります。どちらかを決めてから動きます。
確かめてからの動き方

記録が出そろってから話を持っていきます。
編集部で、一週間の作業を十五分単位で書き出しました。自分の担当だと思っていた作業のほかに、誰の担当でもないまま引き受けていた作業がいくつも出てきました。書き出すまで数に入っていなかった分です。
確かめて伝えるまでの手順
- 一週間、作業を十五分単位で書き出す
- 担当表にある作業と、無い作業に分ける
- 無い作業の件数と合計時間を出す
- 同じ期間の残業時間を並べる
- 上長に、量の相談として時間をもらう
- 減らすか、担当を決めるかを提案する
一週間だけ記録する
長く続けると記録自体が負担になります。一週間あれば偏りの形は出ます。
担当表と突き合わせる
正式な担当かどうかで分けると、話の持っていき方が変わります。担当外の作業は割り振りの話にできます。
不満ではなく相談として出す
「多すぎる」ではなく「この作業の担当を決めたい」と置きます。決める話にすると、相手も動きやすくなります。
減らす案を用意していく
何をやめるか、誰に回すかの案を一つ持っていきます。案があるとその場で決まりやすくなります。
期限も一緒に渡す
量の相談をするときは、いつまでに決めてほしいかを添えます。期限が無いと検討のまま止まり、同じ状態が続きます。次に確かめる日をその場で決めておくと確実です。
断る言葉を決めておく
「いまは◯◯を抱えているので、どちらを先にしますか」の形にすると、断るのではなく順番を決める話になります。
記録するときのチェック

書き出す前に形を決めておきます。
▼ 一週間の記録チェック
- □ 十五分単位で書く形にした
- □ 担当表にある作業と無い作業を分けた
- □ 中断された回数も残している
- □ 残業時間を同じ期間で出した
- □ 同じ作業の所要時間を同僚と比べた
- □ 減らす案を一つ用意した
中断の回数を残す
声をかけられて手を止めた回数は、合計時間より疲れに効くことがあります。回数として見えると、対処の仕方が変わります。
思い出しで書かない
一日の終わりにまとめて書くと、細かい作業が落ちます。その場で短く書くほうが実際の量に近づきます。
多くなかった場合も収穫
量としては平均だったと分かることもあります。その場合はやり方や中断の多さのほうを見ます。確かめた分だけ次の手が決まります。
繁忙期かどうかを分ける
一時的に多い時期と、通年で多い状態は別の話です。記録した週がどちらだったかを先に押さえておきます。
記録は自分のために取る
人に見せるためだと書き方が硬くなります。まず自分が現状を知るための記録として取ります。
やらないほうがいい動き

確かめる前に動くと話がこじれます。
同僚と比べて口に出す
「あの人より多い」という言い方は、相手の働き方への評価として伝わります。自分の量の話として出すほうが通ります。
黙って抱え続ける
こなしているあいだは問題が起きていないように見えます。限界が来て止まったとき、急に起きたことのように扱われます。
処理を速くして解決しようとする
速くすれば終わる、と考えると空いた分に次が入ります。量の問題は速さでは減りません。
その場の勢いで断る
余裕がないときに強く断ると、断ったこと自体が記憶に残ります。順番を決める形で返すほうがあとに残りません。
いきなり上に飛ばす
直属の上長を越えて相談すると、戻ってきたときに動きにくくなります。まず記録を持って直属に出します。
それでも変わらないときは
確かめて伝えても割り振りが動かないことがあります。
記録を残しておく
伝えた日付と内容、そのあとの量の推移を残しておきます。次に相談するときの材料になります。
体に出ているとき
眠れない、休みの日も回復しない、出勤前に強い緊張が出る。そうした状態が続くときは、働き方の工夫だけで抱えず、医療機関や都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどにつないでください。
外に相談できる窓口がある
社内で動かないときは、産業医や社外の相談窓口が使えます。記録があると相談の内容が具体的になります。
動かない理由を聞いておく
割り振りが変わらないときは、変えられない理由を一度聞いておきます。人手が無いのか、優先順位の問題なのかで、次にできることが変わります。
環境を変える判断の材料にする
記録は職場を変えるかどうかを決めるときの材料にもなります。感覚ではなく数で残っていると、あとから迷いません。
働き方と人との距離を、無理のない形でお届けしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 気のせいかどうか、どう確かめますか。
A. 一週間だけ作業を十五分単位で書き出し、担当表にある作業と無い作業に分けてください。担当外の件数と合計時間が、見えていなかった量です。
Q2. 上司に言うと評価が下がりませんか。
A. 不満としてではなく、担当を決めたいという相談の形にすると受け取り方が変わります。減らす案を一つ持っていくと、その場で決まりやすくなります。
Q3. 量としては平均だった場合はどうしますか。
A. やり方や、声をかけられて中断された回数のほうを見てください。同じ作業にかかる時間を同僚と比べると、どちらに理由があるか分かれます。
Q4. 頼まれごとを断る言い方はありますか。
A. 「いま◯◯を抱えていますが、どちらを先にしますか」と返すと、断るのではなく順番を決める話になります。相手も判断しやすくなります。
監修:MIKATA編集部
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
